ファミリーマートとユニーグループ、経営統合協議へ
- 2015/03/07
- 03:32
以下、時事通信社の記事より引用
コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスの持ち株会社ユニーグループ・ホールディングスが、経営統合に向けて検討を始めたことが分かった。関係者が5日、明らかにした。コンビニ事業の2014年2月期のチェーン全店売上高は合算で2兆8133億円となり、統合が実現すると、セブン-イレブン・ジャパンの3兆7812億円に続く国内2位となる。
コンビニは大手主導で出店競争が加速し、飽和感が強まっている。両社は統合による規模拡大で仕入れコストの削減などを図り、収益性を高める狙いがあるとみられる。店舗数では、14年11月時点でファミリーマートが1万1146店、サークルKサンクスは6319店。合計で1万7465店となり、2位のローソンだけでなく、セブン-イレブン・ジャパン(1万7177店)をやや上回る。
ファミリーマートは、セゾングループの中核だった西友ストアー(現西友)のコンビニ事業としてスタート。現在は伊藤忠商事が筆頭株主となっている。09年にはエーエム・ピーエム・ジャパンを子会社化した。
ユニーグループ・ホールディングスは1971年に発足したスーパーマーケットのユニーが母体。コンビニ事業では84年にサークルケイ・ジャパンを設立し、98年にサンクスアンドアソシエイツを子会社化し、サークルKサンクスとして展開している。
ユニーグループはスーパー、コンビニとも業績が低迷し、今期は減収減益になる見通し。業績不振の責任を取り、中村元彦社長と前村哲路会長が退任した。(2015/03/06-01:20)
以上引用。
まず、統合を協議する2社とコンビニ業界について調べました。
株式会社ファミリーマートと、ユニーグループ・ホールディングスの2014年2月期決算は以下のようになっています。
売上高はユニーグループのほうが断然大きいのですが、利益はファミリーマートのほうが大きくなっています。
コンビニ各社の店舗数と売上は以下のようになっています。
(フランチャイズチェーンにおいて、営業収益と全店舗売上高は大きく異なります。)
時事通信の記事にもある通り、統合によって店舗数は業界1位、売上は業界2位になることがわかります。
所感
業界再編が続く小売業界ですが、今回はかなり大きいニュースです。
増税後のコンビニエンスストア業界は首位セブンイレブンの1人勝ち状態で、ローソン以下の各社は減益となっていました。スーパーストア業界では逆に大手総合スーパーが苦戦し、地域密着の中堅スーパーが好調となっているのですが、コンビニ業界ではPB販売や商品開発力、仕入れコストの面で規模の追求が必要なようです。
テレビのニュースではコンビニ業界3位のファミリーマートと業界4位のサークルKサンクスが経営統合するという風に伝えられますが、あくまでユニーグループの中心事業はアピタ・ピアゴなどの総合・食品スーパー事業です。持株会社での統合が検討されていますが、どういった力関係での統合となるのかが注目されます。
企業の規模から見れば、ファミリーマートがユニーグループ傘下になるように考えられますが、実態はユニー側がファミリーマートに助けを求めている様子です。ちなみに、似たような状態の合併話としては三越伊勢丹の例があります。2008年当時、百貨店業界では三越のほうが売上高が上で、歴史も長くありました。しかし、長年のワンマン経営と郊外への無理な出店によって経営が悪化。最終的には自主的な再建を断念し、伊勢丹に救済される形で経営統合しました。表面上は対等でも、統合後の経営は完全に伊勢丹主導で、社員のボーナスにも大きく差が出たといいます。
統合した際の争点としては、持株会社の会社名の他に、店舗屋号、ポイントカード、プライベートブランド、電子マネーなどが考えられます。
ファミリーマートの会長はブランド一本化の必要性をインタビューで言っていましたが、そう簡単に話が進むでしょうか。当然ファミリーマートとしては自社ブランドに統一させる方針でしょうが、ユニーとしてもサークルKに対する思い入れはあるはずです。長崎屋傘下だったサンクスは別にどうでも良いでしょうが、従来独立志向の強かったユニーが簡単に折れるとは思えません。
現状のポイントカードはファミリーマートがTポイントカード、サークルKサンクスが楽天のRポイントカードですが、両社とも自社が中心でやっている事業ではないので、どちらでもよいという考えだと思います。規模から言ってTポイントカードが継続されるのではないでしょうか。
プライベートブランドはファミリーマートは「ファミリーマートコレクション」を扱っており、ユニーグループはイズミヤ、フジ(愛媛)と共同で開発した「スタイルワン」を扱っています。スタイルワンが規模で圧倒しており、ファミリーマートでも導入される可能性が高いと考えられます。
電子マネーは両社とも交通系マネーと楽天Edyが利用できますが、ファミリーマートではイオングループの電子マネー「WAON」、サークルKサンクスではユニーグループの電子マネー「ユニコ」が利用できます。WAONとユニコを相互に利用できるようにすれば問題ないでしょう。
一方、現在業界2位のローソンの動きにも注目されます。買収した成城石井やナチュラルローソン事業で差別化は出来ても、売上高ではセブンイレブンと統合後の2社に到底及びません。ローソンストア100の不採算店舗の閉鎖を発表したばかりですが、経営改善に向けてどういった決断をするのでしょうか。
コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスの持ち株会社ユニーグループ・ホールディングスが、経営統合に向けて検討を始めたことが分かった。関係者が5日、明らかにした。コンビニ事業の2014年2月期のチェーン全店売上高は合算で2兆8133億円となり、統合が実現すると、セブン-イレブン・ジャパンの3兆7812億円に続く国内2位となる。
コンビニは大手主導で出店競争が加速し、飽和感が強まっている。両社は統合による規模拡大で仕入れコストの削減などを図り、収益性を高める狙いがあるとみられる。店舗数では、14年11月時点でファミリーマートが1万1146店、サークルKサンクスは6319店。合計で1万7465店となり、2位のローソンだけでなく、セブン-イレブン・ジャパン(1万7177店)をやや上回る。
ファミリーマートは、セゾングループの中核だった西友ストアー(現西友)のコンビニ事業としてスタート。現在は伊藤忠商事が筆頭株主となっている。09年にはエーエム・ピーエム・ジャパンを子会社化した。
ユニーグループ・ホールディングスは1971年に発足したスーパーマーケットのユニーが母体。コンビニ事業では84年にサークルケイ・ジャパンを設立し、98年にサンクスアンドアソシエイツを子会社化し、サークルKサンクスとして展開している。
ユニーグループはスーパー、コンビニとも業績が低迷し、今期は減収減益になる見通し。業績不振の責任を取り、中村元彦社長と前村哲路会長が退任した。(2015/03/06-01:20)
以上引用。
まず、統合を協議する2社とコンビニ業界について調べました。
株式会社ファミリーマートと、ユニーグループ・ホールディングスの2014年2月期決算は以下のようになっています。
売上高はユニーグループのほうが断然大きいのですが、利益はファミリーマートのほうが大きくなっています。
2014年2月期決算 | ファミリーマート | ユニーグループ |
営業収益 | 3456億円 | 1兆321億円 |
営業利益 | 433億円 | 253億円 |
経常利益 | 473億円 | 251億円 |
当期純利益 | 226億円 | 74億円 |
コンビニ各社の店舗数と売上は以下のようになっています。
(フランチャイズチェーンにおいて、営業収益と全店舗売上高は大きく異なります。)
時事通信の記事にもある通り、統合によって店舗数は業界1位、売上は業界2位になることがわかります。
コンビニチェーン | 国内店舗数(2015/1) | 全店売上高(2014/2) |
セブンイレブン | 1万7277店 | 3兆7812億円 |
ローソン | 1万2141店 | 1兆7586億円 |
ファミリーマート | 1万1271店 | 1兆7219億円 |
サークルKサンクス | 6328店 | 8953億円 |
所感
業界再編が続く小売業界ですが、今回はかなり大きいニュースです。
増税後のコンビニエンスストア業界は首位セブンイレブンの1人勝ち状態で、ローソン以下の各社は減益となっていました。スーパーストア業界では逆に大手総合スーパーが苦戦し、地域密着の中堅スーパーが好調となっているのですが、コンビニ業界ではPB販売や商品開発力、仕入れコストの面で規模の追求が必要なようです。
テレビのニュースではコンビニ業界3位のファミリーマートと業界4位のサークルKサンクスが経営統合するという風に伝えられますが、あくまでユニーグループの中心事業はアピタ・ピアゴなどの総合・食品スーパー事業です。持株会社での統合が検討されていますが、どういった力関係での統合となるのかが注目されます。
企業の規模から見れば、ファミリーマートがユニーグループ傘下になるように考えられますが、実態はユニー側がファミリーマートに助けを求めている様子です。ちなみに、似たような状態の合併話としては三越伊勢丹の例があります。2008年当時、百貨店業界では三越のほうが売上高が上で、歴史も長くありました。しかし、長年のワンマン経営と郊外への無理な出店によって経営が悪化。最終的には自主的な再建を断念し、伊勢丹に救済される形で経営統合しました。表面上は対等でも、統合後の経営は完全に伊勢丹主導で、社員のボーナスにも大きく差が出たといいます。
統合した際の争点としては、持株会社の会社名の他に、店舗屋号、ポイントカード、プライベートブランド、電子マネーなどが考えられます。
ファミリーマートの会長はブランド一本化の必要性をインタビューで言っていましたが、そう簡単に話が進むでしょうか。当然ファミリーマートとしては自社ブランドに統一させる方針でしょうが、ユニーとしてもサークルKに対する思い入れはあるはずです。長崎屋傘下だったサンクスは別にどうでも良いでしょうが、従来独立志向の強かったユニーが簡単に折れるとは思えません。
現状のポイントカードはファミリーマートがTポイントカード、サークルKサンクスが楽天のRポイントカードですが、両社とも自社が中心でやっている事業ではないので、どちらでもよいという考えだと思います。規模から言ってTポイントカードが継続されるのではないでしょうか。
プライベートブランドはファミリーマートは「ファミリーマートコレクション」を扱っており、ユニーグループはイズミヤ、フジ(愛媛)と共同で開発した「スタイルワン」を扱っています。スタイルワンが規模で圧倒しており、ファミリーマートでも導入される可能性が高いと考えられます。
電子マネーは両社とも交通系マネーと楽天Edyが利用できますが、ファミリーマートではイオングループの電子マネー「WAON」、サークルKサンクスではユニーグループの電子マネー「ユニコ」が利用できます。WAONとユニコを相互に利用できるようにすれば問題ないでしょう。
一方、現在業界2位のローソンの動きにも注目されます。買収した成城石井やナチュラルローソン事業で差別化は出来ても、売上高ではセブンイレブンと統合後の2社に到底及びません。ローソンストア100の不採算店舗の閉鎖を発表したばかりですが、経営改善に向けてどういった決断をするのでしょうか。