2015年5月31日、神奈川県川崎市のさいか屋川崎店は、59年の歴史に幕を閉じました。
閉店当日に行ってまいりましたので、お伝えいたします。
通常は東京都内の商業施設のみ取り上げていますが、今回は特別編です。
店舗外観。前日までは雨の予報でしたが、当日は晴れ。

店舗入口。「本日最終日」

売場フロアガイド。(クリックで拡大できます)

入口を入ってすぐのところに、「さいか屋59年の歩み」という写真展が開かれていました。

では、売りつくしの様子を、1階から順に見ていきたいと思います。
1階、化粧品売場。照明が特徴的ですね。

1階バッグバーゲン。多くのお客さんが集まっていました。

2階バッグ売場。

2階婦人服売場。

3階婦人服売場。

3階婦人服売場。

4階、紳士服のサカゼン。

同じくサカゼンのスーツ売場。

5階、東京靴流通センター。

5階売場。

6階、「絵画大売りつくし」のコーナー。

6階特設会場。キッチン用品などが売られていました。

6階寝具売場。

7階、「好日山荘」

7階、売りつくし特設会場。

それでは、地下1階の食料品売場の様子を見ていきましょう。
青果売場(色合いがおかしいのはカメラの影響です。)

鮮魚売場。

お弁当など。

精肉売場。

閉店30分前に訪れると、ほとんどの商品が売り切れていました。
青果売場。

鮮魚売場。調理場の中になぜか傘が差してありますね・・・。

19時30分で閉店しましたが、まだ店内には多くのお客さんが買い物されていました。
そこで、正面入口を封鎖し、そこで閉店の挨拶が行われました。
動画でどうぞ。後半、ピントが合っていない個所があります。ご了承ください。
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VPS夜のさいか屋川崎。
売場について記事にはしていませんが、私は最近も各社の百貨店には行っているので、売場やMDについてお話いたします。さいか屋川崎店の特徴としては、テナントの多さが挙げられます。経営再建時に導入したもので、ユザワヤ(手芸雑貨)・好日山荘(登山用品)・東京靴流通センター・サカゼン(紳士服)・シルク(100円均一)などが入居していました。テナントを導入して集客力をアップすること自体は、悪いことではないと思います。しかし、自社の紳士服売場を廃止し、サカゼンに全て任せてしまうというのはどうでしょうか。新宿高島屋や川口そごうのように、ユニクロを導入している百貨店は多いですが、衣料品について丸投げするということは考えられません。
MDについてですが、全体的に高級感が無く、特別こだわったディスプレイなども無いため、長年改装が行われていない様子です。ほとんどの売場では蛍光灯が使われており、スポット照明は一部テナントと生鮮売場に限られています。商品を引き立たせるような照明の使い方をしなくては、上質感は実現できません。床もきれいではなく、ダイエーなどの古い総合スーパーとなんら変わらない雰囲気。ただ、閉店セールのためにカバンなどの商品を山積みにするのは安さがアピールできており、良い取り組みだと思います。
閉店について閉店の理由は、各社の報道にもある通り、建物賃貸借契約を更新できなかったことです。さいか屋は2009年に債務超過に陥り、経営再建の一環として2010年に川崎店の不動産を投資ファンドに売却しました。賃貸借契約を結び、収益改善に取り組みましたが、5月31日で終了する契約を更新できませんでした。
投資ファンドが更新を見送った理由としては、建物の老朽化もありますが、やはり現在のさいか屋の売り上げが十分でなく、他社へ売って再開発した方が良いと判断したのだと思います。川崎店の売上は2015年2月期で103億9995万円で、最盛期のおよそ半分となっていました。実際、さいか屋の土地建物は、パチンコチェーンのPIAを経営するマタハリーが約100億円で買収したそうです。このことから、跡地にはパチンコ店を中心とするアミューズメント施設が出来ることが予測されます。
この閉店により、140万人都市である川崎市からは百貨店が姿を消すこととなります。西武そごう武蔵小杉SHOPは百貨店と言えるほどの売場はありませんし、丸井は日本チェーンストア協会加盟のため、百貨店ではありません。今後、大型ショッピングセンターの新設により、このように大都市でも百貨店が消滅する事態が増えそうです。