三越伊勢丹HD、大西社長が辞任へ
- 2017/03/06
- 18:59
以下、日本経済新聞より引用
三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(61)が3月31日付で辞任することが5日わかった。傘下の事業会社、三越伊勢丹の社長も同時に辞任する。消費者の百貨店離れが進むなか、事業の多角化を目指す構造改革で成果を上げることができなかった。後任の社長は週内をめどに社内から選ぶ方向で調整し、石塚邦雄会長(67)は当面続投するとみられる。
大西氏は2012年に三越伊勢丹HDの社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店などに取り組む一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京・千代田)といった外部企業との提携も推進してきた。
ただ、17年3月期の連結営業利益は前期比28%減の240億円となる見通し。急速に事業分野を広げる大西氏に対し、社内からは「少ない人数で運営している現場への負荷が大きい」との指摘も多かった。
以上引用
三越と伊勢丹は2008年に経営統合し、国内最大手の百貨店となりました。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店という圧倒的な売り上げを持つ両店舗を軸に、テナントの導入を進めずあえて百貨店事業で勝負する方針を貫いてきました。大丸松坂屋を運営するJフロントリテイリングは脱・百貨店を目指し、積極的にテナントを導入したり、パルコを傘下に収めるなど経営の多角化を行っていました。西の阪急、東の伊勢丹とまで言われるブランド力を持つ阪急百貨店などを運営するH2Oリテイリングは、総合スーパーのイズミヤを買収したほか、関西スーパーと提携するなどスーパーマーケット業界でシェアを伸ばしています。三越伊勢丹も他業種の買収などを行いましたが、売上の9割以上を百貨店事業に依存しており、インバウンド消費の減少により打撃を受けることになりました。
しかし利益が減少したのは三越伊勢丹だけではありません。2017年第3四半期決算では高島屋、Jフロント、H2Oは全て減収減益で、そごう西武も営業損失が拡大しています。大西社長の「責任」ではないと思うのですが、後任は大西社長以上の改革を行うことが出来るのでしょうか。
元々、伊勢丹も三越も、本店の圧倒的なブランド力を背景に郊外・地方へ出店していました。特に三越は日本橋本店の利益を他店で食いつぶすという構図が長く続いており、伊勢丹と合併後に池袋、鹿児島、武蔵村山、名取の4店を閉鎖しています。2017年3月20日には千葉三越と多摩センター三越を閉鎖。2016年11月には、伊勢丹府中店と松戸店、三越松山店と広島店について、縮小や閉店・業態転換も含めて検討していると発表しました。ちなみに競合の高島屋が2000年以降に閉鎖したのは和歌山店の1店舗のみです。百貨店業界が急速に縮小に向かう中で、都心の主力店以外を維持することは、三越伊勢丹だけでなく、各社の課題となっています。
後任の社長は、おそらく伊勢丹出身者になるのではないかと考えられます。統合時から主要なポストは伊勢丹出身者が占めており、伊勢丹が三越を救済したという事実は変わることはないでしょう。
三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(61)が3月31日付で辞任することが5日わかった。傘下の事業会社、三越伊勢丹の社長も同時に辞任する。消費者の百貨店離れが進むなか、事業の多角化を目指す構造改革で成果を上げることができなかった。後任の社長は週内をめどに社内から選ぶ方向で調整し、石塚邦雄会長(67)は当面続投するとみられる。
大西氏は2012年に三越伊勢丹HDの社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店などに取り組む一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京・千代田)といった外部企業との提携も推進してきた。
ただ、17年3月期の連結営業利益は前期比28%減の240億円となる見通し。急速に事業分野を広げる大西氏に対し、社内からは「少ない人数で運営している現場への負荷が大きい」との指摘も多かった。
以上引用
三越と伊勢丹は2008年に経営統合し、国内最大手の百貨店となりました。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店という圧倒的な売り上げを持つ両店舗を軸に、テナントの導入を進めずあえて百貨店事業で勝負する方針を貫いてきました。大丸松坂屋を運営するJフロントリテイリングは脱・百貨店を目指し、積極的にテナントを導入したり、パルコを傘下に収めるなど経営の多角化を行っていました。西の阪急、東の伊勢丹とまで言われるブランド力を持つ阪急百貨店などを運営するH2Oリテイリングは、総合スーパーのイズミヤを買収したほか、関西スーパーと提携するなどスーパーマーケット業界でシェアを伸ばしています。三越伊勢丹も他業種の買収などを行いましたが、売上の9割以上を百貨店事業に依存しており、インバウンド消費の減少により打撃を受けることになりました。
しかし利益が減少したのは三越伊勢丹だけではありません。2017年第3四半期決算では高島屋、Jフロント、H2Oは全て減収減益で、そごう西武も営業損失が拡大しています。大西社長の「責任」ではないと思うのですが、後任は大西社長以上の改革を行うことが出来るのでしょうか。
元々、伊勢丹も三越も、本店の圧倒的なブランド力を背景に郊外・地方へ出店していました。特に三越は日本橋本店の利益を他店で食いつぶすという構図が長く続いており、伊勢丹と合併後に池袋、鹿児島、武蔵村山、名取の4店を閉鎖しています。2017年3月20日には千葉三越と多摩センター三越を閉鎖。2016年11月には、伊勢丹府中店と松戸店、三越松山店と広島店について、縮小や閉店・業態転換も含めて検討していると発表しました。ちなみに競合の高島屋が2000年以降に閉鎖したのは和歌山店の1店舗のみです。百貨店業界が急速に縮小に向かう中で、都心の主力店以外を維持することは、三越伊勢丹だけでなく、各社の課題となっています。
後任の社長は、おそらく伊勢丹出身者になるのではないかと考えられます。統合時から主要なポストは伊勢丹出身者が占めており、伊勢丹が三越を救済したという事実は変わることはないでしょう。