山形県山形市。
JR山形駅から徒歩15分程度、山形市中心部の繁華街である七日町に、大沼山形本店はあります。
店舗外観。
1956年にこの地に開業し、増築を繰り返し現在のかたちになりました。

別角度から。
1700年創業の老舗です。

店舗の裏手。
こちらの屋上広告塔にはバラが描かれていますが、ハイランドグループでは無く、
伊勢丹を中心とする全日本デパートメントストアーズ開発機構に加盟しています。

大規模小売店舗表示板

フロアガイド。

階段にはこんな絵が描かれていました。

1階売場から見ていきましょう。
1階服飾雑貨売場。

化粧品コーナー。
明るく高級感ある売場ですね。

宝飾品の売場。

2階婦人服のフロア。
マネキン陳列が多く見られます。

3階婦人服。

4階は紳士服の売場。

落ち着いた雰囲気の売場。

紳士靴コーナー。

紳士服飾雑貨。

5階は家庭用品、住まいの品のフロア。

調理器具も上質感ある陳列。

和食器など高い価格帯の商品も扱います。

日用品や住まいの品。

6階催事場ではバレンタインデーのチョコレートが販売されており、人気を博していました。

6階子供用品コーナー。

百貨店らしくおもちゃも充実。

雑貨コーナー。

子供服売場。

7階催事場。

高級感ある宝飾品コーナー。

レストランも入居。

地下1階の食料品フロアを見ていきます。
青果売場は九州屋が担当。ボリューム感ある陳列が特徴ですね。

鮮魚は北辰が担当。珍しい海鮮物なども扱っています。

精肉は佐藤精肉店が担当。対面販売の量り売りコーナーでは上質なお肉を扱います。

対面販売のお惣菜、サラダも販売。

加工食品も九州屋が担当しており、珍しいお菓子など展開。

和洋菓子が揃う銘品コーナー。

お酒はあまり充実していません。

百貨店らしからぬ、たこ焼きとそばのフードコートが設置されています。
大沼山形本店 店舗概要開業: 1950年
店舗面積: 11952㎡
営業時間: 午前10時~午後6時30分
住所: 山形県山形市七日町1-2-30
HP:
http://www.onuma.co.jp/2017年12月25日、 百貨店の大沼は独立系投資会社のマイルストーンターンアラウンドマネジメント(MTM)から数億円規模の増資を含む経営支援を受けることで同日基本合意したと発表しました。MTMは盛岡市の商業施設「ななっく」や姫路市の百貨店ヤマトヤシキの再生などを手がけてきた企業再生ファンドです。大沼は1700年に創業した山形を代表する老舗百貨店ですが、最盛期には約200億円(2000年)あった売上は直近で85億円と低迷。4期連続の赤字に陥っていました。
東北地方の百貨店は仙台の藤崎と三越が独走しており、その他の地域で300億円を超える売上の店舗はありません。100億円超えもパルクアベニューカワトク、うすい百貨店の2店舗に留まっており(ちなみに秋田西武は99億円)、毎年の減少幅も大きい状況。郊外のショッピングセンターや大都市圏へ顧客流出が続いている事に加え、ネット通販の普及で苦境に陥っています。
大沼山形店の昨年度の売上高は61億円と、地方百貨店の中でも大変厳しい業績となっています。売場面積は約1万2000平米と、フルラインの品揃えとは言い難い状況。2018年1月末まで競合していた十字屋山形店の売上は31億円だったため地域一番店ですが、十字屋の顧客を奪っても厳しい売上に変わりないでしょう。ちなみに大沼米沢店も15.5億円で、百貨店と言うより食品スーパーに近い売上高。
店内を見て回りましたが、十字屋の売場に比べれば洗練された上質感ある売場となっています。食料品売場においても青果、鮮魚、精肉で上質な品を揃え、各種サラダの量り売りも実施。和洋菓子などの銘品専門店も多数入居。化粧品売場は決して広くはないものの、有名ブランドは一通り入居しており、高級感ある売場。衣料品売場はスポット照明も多数導入されており、百貨店らしい演出が出来ています。一方、生活用品売場や催事場は蛍光灯のみの昭和の雰囲気が残されていました。
売場面積が小さいながらもまんべんなく品揃えしているため、どこか中途半端な売場が多いように感じます。投資ファンドが「服飾の割合を減らし、食材やレストランなど食に関わる分野の拡大を盛り込む予定。」としていますが、この規模の百貨店であれば妥当な判断に思われます。惣菜やお弁当、デザートの分野でより充実した品揃えが実現出来れば良いですね。
平日に訪れましたが、あまりお客さんの姿は見られませんでした。昼間はもちろん、夕方にも2階以上の売場は閑散としており、お客さんよりも従業員の方が多い様子。バレンタインデーのチョコレートの催事を行っている6階は盛況でした。食料品売場は高齢女性を中心に集客出来ていますが、若い人の姿はありませんでした。業績から言って、いつ閉店してもおかしくない状況ですが、十字屋の閉店で大沼は山形唯一の百貨店になります。大沼の児玉社長は「山形の地に百貨店をなくしてはならない」と語りました。経営権を譲渡するという大きな決断は、果たして実を結ぶのでしょうか。