北海道函館市。
市電の五稜郭公園前電停すぐのところに、丸井今井函館店はあります。
店舗外観

別角度から

地下道には丸井今井函館店の歴史を紹介するコーナーがありました。
札幌で創業した丸井今井は1892年に函館へ進出。1969年には人口増加を見込んで五稜郭地区の現在の建物へ移転しています。

フロアガイド

まずは1階服飾雑貨、化粧品売場から見ていきましょう。
上質で洗練された都市型百貨店という印象を持ちます。

天井が高く広々とした空間。

服飾雑貨売場。

宝飾品売場。高級品が多く並んでいます。

化粧品コーナーも広く取られています。

ここからは地下食料品フロア。
青果売場は九州屋が運営します。

鮮魚売場。こちらは地元企業の魚長の売場。

海鮮加工品も多数販売。

鮮魚売場は北辰も入居しています。

精肉売場では対面販売の量り売りコーナーも導入。

高級品が揃う酒コーナー。

加工食品は北野エースが担当。高級食材も多数取り揃えます。

洋菓子などの銘品コーナー。

和菓子コーナー。

2階婦人服売場。

3階婦人服売場。

4階は紳士服売場。

棒二森屋ではハンガー陳列が多く感じましたが、丸井今井ではボックス陳列もあり、上質感ある陳列が行われています。

高価格帯のスーツも取り扱います。

紳士服飾雑貨コーナー。

5階は住まいの品フロア。
調理用品コーナー。

間接照明を使ったプロモーションも良く出来ています。

家具、寝具のコーナー。

6階子供服売場。

品揃えはそれほど多くありません。

6階の半分を占める函館営好堂書店。
内装はジュンク堂とほぼ同じです。

7階は催事場と屋上になっています。ちなみに屋上は冬期立ち入り禁止。
催事場では食品ギフト解体セールが開催されていました。

6階までは高級感ある内装にリニューアルされていますが、なぜか催事場だけは昔ながらの雰囲気。

お歳暮ギフト商品が多く並んでいました。

お客さんもそれなりに入っている印象。
丸井今井函館店 店舗概要開業: 1969年10月21日(現在の建物)
店舗面積: 15175㎡
営業時間: 午前10時~午後7時
住所: 北海道函館市本町32番15号
駐車場: あり(2000円以上で2時間無料)
HP:
http://www.marui-imai.jp/hakodate/h_top/index.html/丸井今井は、三越伊勢丹傘下で北海道に2店舗を展開する百貨店です。札幌本店は株式会社札幌丸井三越、函館店は株式会社函館丸井今井が運営しています。1872年に「今井呉服店」の屋号で創業し、1919年には株式会社丸井商店の商号で設立され、1950年には株式会社丸井今井へ改称。地場老舗百貨店として知名度を誇っていました。
最盛期には道内7店舗を構え、1997年には売上高1320億円にまで規模を拡大させました。しかし、過剰な設備投資と関連会社の債務保証が重荷となり、2005年1月期には最終赤字へ転落。300億円近い債務超過に陥っていました。このため、地元金融機関や伊勢丹などの支援で再建に着手。伊勢丹からは、約5億円の出資や役員派遣とともに、店舗改装など営業面でのノウハウ提供を受け、800億円台前半にまで落ちた売上高を、5年間で900億円にまで引き上げる計画を立てていました。再建の一環として小樽店と苫小牧店を2005年10月に閉鎖、2006年8月には釧路店を閉鎖しています。
札幌本店を中心に伊勢丹が主導する店舗改装が進められたものの、効果はいまひとつで、2009年には長年維持してきた札幌地区での地域一番店を大丸札幌店に明け渡すなど、苦戦を強いられました。東京並みの高級路線を意識した品揃えは地元ニーズとかけ離れていたという指摘もあります。札幌駅前の商業施設などとの競合に加え、2008年秋以降の売り上げ急減により資金繰りが一気に悪化。2009年1月に民事再生法の適用を申請し、経営破綻。負債総額は502億円でした。
スポンサーには三越伊勢丹に加えて高島屋も名乗りを上げました。高島屋は4店舗の存続を主張したものの、資金援助額で三越伊勢丹が上回っており、支援企業に決定しました。再建のため、2009年7月に旭川店が閉鎖、2010年1月に室蘭店を閉鎖しました。丸井今井の経営破綻もあり、道内の百貨店は21世紀に入って12店舗が閉店という大変厳しい環境に置かれています。
昨年度の函館店の売上は76億円。競合であった函館駅前の棒二森屋は41億円にまで落ち込んでおり、より多くの顧客を獲得しています。札幌本店の業績が厳しい中、単体でも最終黒字を確保しており、地方百貨店でも健闘していると言えるでしょう。しかし伊勢丹の支援を受け始めた2005年度には145億円を売り上げており、13年間で半減となっています。一方で棒二森屋閉店により市内唯一の百貨店となるため、来年はひとまず増収が見込まれます。
売場は非常に高級感があり、1階の服飾雑貨、化粧品コーナーは都心の大手百貨店と遜色ないレベルに仕上がっています。地下食品売場も生鮮3品でこだわりの商品を揃え、加工食品では北野エースを導入するなど百貨店らしい高級品、珍しい商品を多く展開しています。衣料品・住まいの品売場は高級ブランドが導入され、庶民的な雰囲気の棒二森屋と一線を画す都市型百貨店として営業されています。
6階にはジュンク堂が出資する函館栄好堂が出店。売場もジュンク堂と同じような雰囲気で、文具も含めて豊富な品揃えです。一方で7階催事場はリニューアルされていない様子で、昔ながらのデパートという雰囲気。カフェは多く設置されており、休憩しながらゆったりと買い物を楽しめる一方、レストラン街は無く、ファミリー向けでは無いように感じます。
棒二森屋閉店3日前に訪れたため、そちらの閉店セールに流れるお客さんが多い影響もあると思いますが、丸井今井には全くといってよいほどお客さんが居ませんでした。販売員の方が多いというフロアが多く、百貨店で最も賑わう食品フロアもお客さんが少なく、閑散とした様子。客層は地元の高齢者層が中心でした。
函館の経済は北洋漁業の縮小や交易の拠点としての地位を失い、長年衰退を続けてきました。そんな中、北海道新幹線の開業もあり観光客・訪日客が増加し、観光地は盛り上がりを見せています。棒二森屋は駅前立地に関わらず、店の外を歩く観光客を呼び込むことが出来ませんでしたが、丸井今井は活路を見出すことが出来るのでしょうか。