丸正総本店
- 2021/10/15
- 20:05
【特集】
丸正チェーン商事。1919年に東京四谷で飯塚正兵衛が青果小売業として創業した企業です。鮮魚や精肉なども販売する総合食料品店化へと舵を切り、多くのチェーン加盟店を持つスーパーマーケットのボランタリーチェーンへと成長。1977年にはチェーン100店舗を達成し、首都圏において有力食品スーパーとしての地位を築いていました。今でも四谷総本店の屋上広告には「首都圏出店目標300店」という目標が掲げられていますが、現在チェーン加盟店はわずか6店。小売業の主役はレギュラーチェーン、そしてコンビニエンスストアなどのフランチャイズチェーンやネット通販へと移り変わりました。経営が独立しているボランタリーチェーンは、経営の自由度が高い反面、ブランド力や価格競争力、方向性の違いによる加盟店の脱退などが欠点で、丸正も規模縮小を余儀なくされています。
上場しておらず、決算も公表していないため現在の業績は不明ですが、1995年時点で119店舗・売上高約1300億円、2012年8月期決算で22店舗・売上高205億円というデータが存在しています(それぞれ日本食糧新聞社、商人舎より)。総本店は都心の一等地で貴重な食品スーパーであることから年商20億円は上回っていると考えられますが、一方でその他5店舗はいずれも年商10億円の大台は厳しい状況です。2021年現在のチェーン全体売上高は50億円程度と推測され、かつての勢力は見る影もない凋落ぶりです。
今回は、そんな丸正の全6店舗を訪れました。どの店舗も地域に根差した、魅力ある素敵なお店で、地元のお客様に支持されていました。建物の老朽化が進んでいる店舗も多いですが、今後も営業を続けて欲しいと思います。300店舗というのは非常に難しいですが、新規出店や新たな加盟店が現れることを期待したいですね。
【追記:10月9日に、丸正総本店が2022年1月7日をもって閉店し、近隣に仮設店舗をオープンするというチラシが折り込まれました。このページはその情報が入る直前に店舗を訪れた記録です。】
閉店当日の記事はこちら→http://daieisaison.jp/blog-entry-639.html
総本店以外の6店舗の記事は以下のリンク先になります。
大井町→http://daieisaison.jp/blog-entry-611.html
武蔵野台駅前→http://daieisaison.jp/blog-entry-612.html
保谷北口→http://daieisaison.jp/blog-entry-613.html
野方北口(閉店済み)→http://daieisaison.jp/blog-entry-614.html
野方南口(閉店済み)→http://daieisaison.jp/blog-entry-615.html
東京都新宿区四谷。
東京メトロ丸の内線の四谷三丁目駅すぐのところに、丸正総本店はあります。
店舗外観

「首都圏出店目標300店」を掲げます。

正面入口。

大規模小売店舗表示板。

1階と2階が丸正の売場、3階はあおい書店が長らく営業していましたが、9月26日をもって閉店しました。

2階に生鮮品が配置されていますので、2階から紹介させていただきます。
エスカレーターを昇ってすぐの青果売場。

バナナも豊富に展開。

有機野菜など安心安全な野菜を扱うオイシックスのコーナーを設置。

カットフルーツ売場。

和日配コーナーでは味噌の品揃えが充実。

鮮魚売場。
丸々1尾の鮮魚も数多く扱い、調理も承っています。

殻付きの生牡蠣、ホタテ貝、ムール貝なども販売。

お刺身コーナー。
価格帯もお手頃。2点盛り、3点盛りが中心で大人数世帯向けの商品は扱っていません。

精肉売場。
上質なステーキ肉、すき焼き用肉も販売。

ソーセージやハム売場。
お中元、お歳暮で贈るような高級品を扱います。

精肉売場を挟んで寿司売場を配置。

地方の銘菓なども販売。

洋日配にはオイシックスの食材キットを展開。
野菜や肉などとレシピが入っており、バランスの取れた夕食を作ることが出来ます。

商品紹介POP。

ここからは1階売場です。
惣菜売場。キッチンが見えるようになっています。

金曜日はフライ100円セールを開催しているようです。

お値段はやや高めですがお弁当は充実。

加工食品売場。

調味料コーナー。
大手NBの他、上質な品やこだわりの品も販売。

輸入菓子も充実していました。

ビール、スパークリングワイン売場。
クラフトビールも豊富に揃えています。

ワインに合うチーズも充実。

ワイン売場。
アイテム数はそれほど多くありませんが、商品紹介のPOPは工夫が感じられます。

丸正総本店 店舗概要
開業: 1971年
店舗面積: 約1400㎡
営業時間: 10:00~24:00
住所: 東京都新宿区四谷3-12
駐車場: 12台
HP: https://www.marusho-chain.jp/storeguidance/001/
店内・売場の様子
時間帯: 15時頃
客数: やや多い
客層: 主婦、高齢者、若年家族中心
買い物内容: 生鮮、加工食品中心にやや多め
売場の雰囲気: 落ち着いた
品出し・前出し: 良い
クリンリネス: 普通
接客対応: 良い
店内BGM: クラシック音楽
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品レジ: セミセルフレジ7台(6台稼働中)
完全セルフレジ: 無し
トイレ: 未確認
休憩スペース: 無し
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: 丸正オリジナル商品
新宿区四谷3丁目。丸正チェーン商事の創業の地にそびえ立つ丸正総本店は、1971年に建て替えオープンしました。当時としては画期的な2階に生鮮3品を配置するというレイアウトは現在も変わっていません。当時は1階が輸入食品などこだわりの品を揃えた売場で、3階が一般的な加工食品売場という配置だったそうです。現在は3階にテナントとしてあおい書店が入居、1階が惣菜と加工食品売場となり、2階は生鮮3品と和洋日配となっています。一方、あおい書店は2021年9月26日で閉店となり、後継テナントとして何が入るのか注目されます。
私自身は2014年8月にも一度訪れたことがあります。平日の午前中としてはかなり賑わっていた印象でしたが、その後2015年には近隣に大型食品スーパーのイトーヨーカドー食品館新宿富久店(現在はヨークフーズ)がオープン。2020年には小型店舗ではありますがライフが四ツ谷駅前に出店するなど競争が激化しています。今回は平日の昼過ぎに訪れましたが、近隣の高齢者、主婦層を中心にお客さんは多く、レジも6台が稼働中と現在でも繁盛している様子でした。
エスカレーターで2階に上がると、そこから青果鮮魚精肉と続く配置。寿司売場は精肉売場を挟んで1階へのエスカレーター近くに配置されていました。青果売場では珍しい果物、野菜が多く、ドリアンやザクロなども販売していました。また、有機栽培野菜や無添加食品を扱うオイシックスのコーナーを設け、季節の果物やこだわり野菜を展開。鮮魚売場では丸々1尾の魚も多数扱うほか、殻付き生牡蠣や殻付きホタテ、ムール貝なども販売。お寿司は1人前1000円以上の高価格帯も扱っています。精肉売場では島根県産「まつなが牛」のステーキ肉など霜降りの入った上質な牛肉が並び、骨付きラム肉も販売。一方で輸入品の安価な商品や簡便調理の味付け肉など、高所得者向けではないアイテムも取り揃えます。ソーセージやハムの売場も充実。
1階の惣菜売場はそこまで凝った商品を置いている訳ではありませんが、周辺会社員の需要もあるのか弁当は充実していました。揚げ物はコロナの影響で袋かパックに入っているので訴求しにくいですが、金曜日は100円均一の特売を行っているようです。加工食品売場は輸入食品の他にもこだわりの品が随所に見られ、商品紹介のPOPも活用しています。酒売場ではビールが特に充実しており、他社では見たことの無いような商品も扱っています。スパークリングワインも豊富に展開しており、隣のお酒のおつまみ向けチーズ売場も約70アイテムと満足できる品揃えです。
チェーン店のスーパーでは、バイヤーが決めた商品をただ発注し、ただ並べるだけという店舗運営も珍しくありません。一方で丸正のようなボランタリーチェーンは1店1店の個店経営のため、店長をはじめとして従業員が主導で売場作りをしている点は魅力的に感じられました。POPも凝ったものが多く、店長の顔写真付きのPOPも見られました。今後も魅力ある商品を地域のお客様に紹介していって欲しいですね。
丸正チェーン商事。1919年に東京四谷で飯塚正兵衛が青果小売業として創業した企業です。鮮魚や精肉なども販売する総合食料品店化へと舵を切り、多くのチェーン加盟店を持つスーパーマーケットのボランタリーチェーンへと成長。1977年にはチェーン100店舗を達成し、首都圏において有力食品スーパーとしての地位を築いていました。今でも四谷総本店の屋上広告には「首都圏出店目標300店」という目標が掲げられていますが、現在チェーン加盟店はわずか6店。小売業の主役はレギュラーチェーン、そしてコンビニエンスストアなどのフランチャイズチェーンやネット通販へと移り変わりました。経営が独立しているボランタリーチェーンは、経営の自由度が高い反面、ブランド力や価格競争力、方向性の違いによる加盟店の脱退などが欠点で、丸正も規模縮小を余儀なくされています。
上場しておらず、決算も公表していないため現在の業績は不明ですが、1995年時点で119店舗・売上高約1300億円、2012年8月期決算で22店舗・売上高205億円というデータが存在しています(それぞれ日本食糧新聞社、商人舎より)。総本店は都心の一等地で貴重な食品スーパーであることから年商20億円は上回っていると考えられますが、一方でその他5店舗はいずれも年商10億円の大台は厳しい状況です。2021年現在のチェーン全体売上高は50億円程度と推測され、かつての勢力は見る影もない凋落ぶりです。
今回は、そんな丸正の全6店舗を訪れました。どの店舗も地域に根差した、魅力ある素敵なお店で、地元のお客様に支持されていました。建物の老朽化が進んでいる店舗も多いですが、今後も営業を続けて欲しいと思います。300店舗というのは非常に難しいですが、新規出店や新たな加盟店が現れることを期待したいですね。
【追記:10月9日に、丸正総本店が2022年1月7日をもって閉店し、近隣に仮設店舗をオープンするというチラシが折り込まれました。このページはその情報が入る直前に店舗を訪れた記録です。】
閉店当日の記事はこちら→http://daieisaison.jp/blog-entry-639.html
総本店以外の6店舗の記事は以下のリンク先になります。
大井町→http://daieisaison.jp/blog-entry-611.html
武蔵野台駅前→http://daieisaison.jp/blog-entry-612.html
保谷北口→http://daieisaison.jp/blog-entry-613.html
野方北口(閉店済み)→http://daieisaison.jp/blog-entry-614.html
野方南口(閉店済み)→http://daieisaison.jp/blog-entry-615.html
東京都新宿区四谷。
東京メトロ丸の内線の四谷三丁目駅すぐのところに、丸正総本店はあります。
店舗外観

「首都圏出店目標300店」を掲げます。

正面入口。

大規模小売店舗表示板。

1階と2階が丸正の売場、3階はあおい書店が長らく営業していましたが、9月26日をもって閉店しました。

2階に生鮮品が配置されていますので、2階から紹介させていただきます。
エスカレーターを昇ってすぐの青果売場。

バナナも豊富に展開。

有機野菜など安心安全な野菜を扱うオイシックスのコーナーを設置。

カットフルーツ売場。

和日配コーナーでは味噌の品揃えが充実。

鮮魚売場。
丸々1尾の鮮魚も数多く扱い、調理も承っています。

殻付きの生牡蠣、ホタテ貝、ムール貝なども販売。

お刺身コーナー。
価格帯もお手頃。2点盛り、3点盛りが中心で大人数世帯向けの商品は扱っていません。

精肉売場。
上質なステーキ肉、すき焼き用肉も販売。

ソーセージやハム売場。
お中元、お歳暮で贈るような高級品を扱います。

精肉売場を挟んで寿司売場を配置。

地方の銘菓なども販売。

洋日配にはオイシックスの食材キットを展開。
野菜や肉などとレシピが入っており、バランスの取れた夕食を作ることが出来ます。

商品紹介POP。

ここからは1階売場です。
惣菜売場。キッチンが見えるようになっています。

金曜日はフライ100円セールを開催しているようです。

お値段はやや高めですがお弁当は充実。

加工食品売場。

調味料コーナー。
大手NBの他、上質な品やこだわりの品も販売。

輸入菓子も充実していました。

ビール、スパークリングワイン売場。
クラフトビールも豊富に揃えています。

ワインに合うチーズも充実。

ワイン売場。
アイテム数はそれほど多くありませんが、商品紹介のPOPは工夫が感じられます。

丸正総本店 店舗概要
開業: 1971年
店舗面積: 約1400㎡
営業時間: 10:00~24:00
住所: 東京都新宿区四谷3-12
駐車場: 12台
HP: https://www.marusho-chain.jp/storeguidance/001/
店内・売場の様子
時間帯: 15時頃
客数: やや多い
客層: 主婦、高齢者、若年家族中心
買い物内容: 生鮮、加工食品中心にやや多め
売場の雰囲気: 落ち着いた
品出し・前出し: 良い
クリンリネス: 普通
接客対応: 良い
店内BGM: クラシック音楽
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品レジ: セミセルフレジ7台(6台稼働中)
完全セルフレジ: 無し
トイレ: 未確認
休憩スペース: 無し
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: 丸正オリジナル商品
新宿区四谷3丁目。丸正チェーン商事の創業の地にそびえ立つ丸正総本店は、1971年に建て替えオープンしました。当時としては画期的な2階に生鮮3品を配置するというレイアウトは現在も変わっていません。当時は1階が輸入食品などこだわりの品を揃えた売場で、3階が一般的な加工食品売場という配置だったそうです。現在は3階にテナントとしてあおい書店が入居、1階が惣菜と加工食品売場となり、2階は生鮮3品と和洋日配となっています。一方、あおい書店は2021年9月26日で閉店となり、後継テナントとして何が入るのか注目されます。
私自身は2014年8月にも一度訪れたことがあります。平日の午前中としてはかなり賑わっていた印象でしたが、その後2015年には近隣に大型食品スーパーのイトーヨーカドー食品館新宿富久店(現在はヨークフーズ)がオープン。2020年には小型店舗ではありますがライフが四ツ谷駅前に出店するなど競争が激化しています。今回は平日の昼過ぎに訪れましたが、近隣の高齢者、主婦層を中心にお客さんは多く、レジも6台が稼働中と現在でも繁盛している様子でした。
エスカレーターで2階に上がると、そこから青果鮮魚精肉と続く配置。寿司売場は精肉売場を挟んで1階へのエスカレーター近くに配置されていました。青果売場では珍しい果物、野菜が多く、ドリアンやザクロなども販売していました。また、有機栽培野菜や無添加食品を扱うオイシックスのコーナーを設け、季節の果物やこだわり野菜を展開。鮮魚売場では丸々1尾の魚も多数扱うほか、殻付き生牡蠣や殻付きホタテ、ムール貝なども販売。お寿司は1人前1000円以上の高価格帯も扱っています。精肉売場では島根県産「まつなが牛」のステーキ肉など霜降りの入った上質な牛肉が並び、骨付きラム肉も販売。一方で輸入品の安価な商品や簡便調理の味付け肉など、高所得者向けではないアイテムも取り揃えます。ソーセージやハムの売場も充実。
1階の惣菜売場はそこまで凝った商品を置いている訳ではありませんが、周辺会社員の需要もあるのか弁当は充実していました。揚げ物はコロナの影響で袋かパックに入っているので訴求しにくいですが、金曜日は100円均一の特売を行っているようです。加工食品売場は輸入食品の他にもこだわりの品が随所に見られ、商品紹介のPOPも活用しています。酒売場ではビールが特に充実しており、他社では見たことの無いような商品も扱っています。スパークリングワインも豊富に展開しており、隣のお酒のおつまみ向けチーズ売場も約70アイテムと満足できる品揃えです。
チェーン店のスーパーでは、バイヤーが決めた商品をただ発注し、ただ並べるだけという店舗運営も珍しくありません。一方で丸正のようなボランタリーチェーンは1店1店の個店経営のため、店長をはじめとして従業員が主導で売場作りをしている点は魅力的に感じられました。POPも凝ったものが多く、店長の顔写真付きのPOPも見られました。今後も魅力ある商品を地域のお客様に紹介していって欲しいですね。