12/15閉店 丸正野方南口店
- 2021/12/16
- 15:25
中野区野方。
西武新宿線の野方駅から徒歩2分程度のところに、丸正野方南口店はあります。
こちらの店舗は2021年12月15日をもって営業を終了しました。
閉店当日に訪れましたのでご紹介いたします。
残念ながら私が到着した時には既に閉店しており、売場の写真はありません。
11月30日に先行して閉店した北口店と同様に、閉店時刻は告知されておらず、商品を売り切り次第営業を終了したようです。

閉店のお知らせ。
約60年に渡って営業してきました。

使用していた什器などが外に出されていました。

入口の塞がれた売場。

3つに分かれた全ての売場にシャッターが下ろされていました。

丸正野方南口店 店舗概要
開業: 不明
店舗面積: 約400㎡(3カ所合わせて)
営業時間: 10時00分~20時30分
住所: 東京都中野区野方5-24-1
今回営業を終了した丸正野方北口店、野方南口店は丸正チェーン商事に加盟する株式会社丸正ニューフーズが運営していました。閉店の理由は建物の老朽化であると案内されていますが、もし黒字であれば建て替えを行い、再出店するのが一般的なスーパーマーケットの戦略です。野方駅周辺には大手競合も存在せず、現状赤字であったとしても改装など投資を行えば黒字転換も可能な物件に見えます。同じ丸正チェーンの中でも、新宿四谷にある総本店は来年1月に一時閉店し、近隣に仮設店舗をオープンさせつつ建て替えを予定しています。「なぜ丸正ニューフーズが建て替えを行わないのか」それは、丸正がボランタリーチェーンであることが要因だと考えられます。
日本国内に展開している小売業のチェーンストアは、3つの営業形態に分けることが出来ます。1つ目は本部が直接店舗展開するレギュラーチェーン。ほとんどのスーパーマーケットがこのレギュラーチェーンです。2つ目はフランチャイズチェーン。コンビニエンスストアの他、飲食店などでも採用している企業が多数あります。3つ目がボランタリーチェーン。定義としては「独立事業者が主体的に参画するチェーン組織」とされ、本部事業者と1対1の契約に基づくフランチャイズチェーンと異なり、加盟店が主体となり、横のつながりを持つ組織です。加盟企業の経営の独自性を保てる一方で、本部の統制が弱く、加盟店への指導や意思統一が難点とされます。
つまり、丸正総本店の運営会社である「株式会社ショッピングセンター丸正総本店」と、「株式会社丸正ニューフーズ」はあくまでも別会社で、同じボランタリーチェーンに加盟しているに過ぎないという事です。別会社であれば、当然決算書も別で、資産なども個別に管理していることを意味します。レギュラーチェーンであれば容易に捻出できる建て替え費用も、経営格差が生じるボランタリーチェーンでは難しいのでしょう。ただし、建て替え資金不足のため営業を終了するというのはあくまでも推測であり、土地オーナーの意向や、後継者不足なども考えられます。
丸正の創業100周年を記念して2019年に発行された「丸く正しい商いを 愛され続けるスーパー丸正の100年」(ダイヤモンド社)という書籍の中で、飯塚司郎社長は以下のように綴っています。
「丸正の独特の商売のやり方の1つとして、のれん分けがある。時代にそぐわない部分もあるので今でこそ数は減ったが、創業者は、たくさんの従業員の独立を後押ししてきた。1人でやっていけると判断した従業員に対しては、資金面でも商売のノウハウ面でも惜しむことなく手助けしながら、独り立ちを応援してきたのだ。それが、現在のボランタリーチェーンの礎となっている。」(以上引用)
このように丸正では、独立志向の強い従業員が自分の店を持てるように後押しし、店舗網を拡大させていました。店舗が増え、会社が成長していく時期には良い制度だったと言えるでしょう。
1977年に100店舗を達成し、1995年には首都圏に119店舗を展開していた丸正食品チェーン。90年代後半から日本国内では都心回帰が進み、丸正が地盤としてきた東京・神奈川の都市部でも人口が増加傾向となりました。丸正にとって追い風にも思えましたが、時を同じくして競合他社も都心部への出店を加速させます。マルエツ、サミット、ライフ、オーケーといった中堅スーパーに加え、2005年からはイオンが都市型小型スーパー「まいばすけっと」の出店を開始。加盟企業ごとに経営戦略の異なる丸正は十分な対抗策を打ち出すことが出来ず、競合に敗れ次々と閉店していきました。また、加盟企業の脱退も相次ぎ、ついに2021年12月、丸正食品チェーンはわずか4店舗にまでその規模を縮小させることになりました。
西武新宿線の野方駅から徒歩2分程度のところに、丸正野方南口店はあります。
こちらの店舗は2021年12月15日をもって営業を終了しました。
閉店当日に訪れましたのでご紹介いたします。
残念ながら私が到着した時には既に閉店しており、売場の写真はありません。
11月30日に先行して閉店した北口店と同様に、閉店時刻は告知されておらず、商品を売り切り次第営業を終了したようです。

閉店のお知らせ。
約60年に渡って営業してきました。

使用していた什器などが外に出されていました。

入口の塞がれた売場。

3つに分かれた全ての売場にシャッターが下ろされていました。

丸正野方南口店 店舗概要
開業: 不明
店舗面積: 約400㎡(3カ所合わせて)
営業時間: 10時00分~20時30分
住所: 東京都中野区野方5-24-1
今回営業を終了した丸正野方北口店、野方南口店は丸正チェーン商事に加盟する株式会社丸正ニューフーズが運営していました。閉店の理由は建物の老朽化であると案内されていますが、もし黒字であれば建て替えを行い、再出店するのが一般的なスーパーマーケットの戦略です。野方駅周辺には大手競合も存在せず、現状赤字であったとしても改装など投資を行えば黒字転換も可能な物件に見えます。同じ丸正チェーンの中でも、新宿四谷にある総本店は来年1月に一時閉店し、近隣に仮設店舗をオープンさせつつ建て替えを予定しています。「なぜ丸正ニューフーズが建て替えを行わないのか」それは、丸正がボランタリーチェーンであることが要因だと考えられます。
日本国内に展開している小売業のチェーンストアは、3つの営業形態に分けることが出来ます。1つ目は本部が直接店舗展開するレギュラーチェーン。ほとんどのスーパーマーケットがこのレギュラーチェーンです。2つ目はフランチャイズチェーン。コンビニエンスストアの他、飲食店などでも採用している企業が多数あります。3つ目がボランタリーチェーン。定義としては「独立事業者が主体的に参画するチェーン組織」とされ、本部事業者と1対1の契約に基づくフランチャイズチェーンと異なり、加盟店が主体となり、横のつながりを持つ組織です。加盟企業の経営の独自性を保てる一方で、本部の統制が弱く、加盟店への指導や意思統一が難点とされます。
つまり、丸正総本店の運営会社である「株式会社ショッピングセンター丸正総本店」と、「株式会社丸正ニューフーズ」はあくまでも別会社で、同じボランタリーチェーンに加盟しているに過ぎないという事です。別会社であれば、当然決算書も別で、資産なども個別に管理していることを意味します。レギュラーチェーンであれば容易に捻出できる建て替え費用も、経営格差が生じるボランタリーチェーンでは難しいのでしょう。ただし、建て替え資金不足のため営業を終了するというのはあくまでも推測であり、土地オーナーの意向や、後継者不足なども考えられます。
丸正の創業100周年を記念して2019年に発行された「丸く正しい商いを 愛され続けるスーパー丸正の100年」(ダイヤモンド社)という書籍の中で、飯塚司郎社長は以下のように綴っています。
「丸正の独特の商売のやり方の1つとして、のれん分けがある。時代にそぐわない部分もあるので今でこそ数は減ったが、創業者は、たくさんの従業員の独立を後押ししてきた。1人でやっていけると判断した従業員に対しては、資金面でも商売のノウハウ面でも惜しむことなく手助けしながら、独り立ちを応援してきたのだ。それが、現在のボランタリーチェーンの礎となっている。」(以上引用)
このように丸正では、独立志向の強い従業員が自分の店を持てるように後押しし、店舗網を拡大させていました。店舗が増え、会社が成長していく時期には良い制度だったと言えるでしょう。
1977年に100店舗を達成し、1995年には首都圏に119店舗を展開していた丸正食品チェーン。90年代後半から日本国内では都心回帰が進み、丸正が地盤としてきた東京・神奈川の都市部でも人口が増加傾向となりました。丸正にとって追い風にも思えましたが、時を同じくして競合他社も都心部への出店を加速させます。マルエツ、サミット、ライフ、オーケーといった中堅スーパーに加え、2005年からはイオンが都市型小型スーパー「まいばすけっと」の出店を開始。加盟企業ごとに経営戦略の異なる丸正は十分な対抗策を打ち出すことが出来ず、競合に敗れ次々と閉店していきました。また、加盟企業の脱退も相次ぎ、ついに2021年12月、丸正食品チェーンはわずか4店舗にまでその規模を縮小させることになりました。