山梨県上野原市。
JR中央本線の四方津駅からコモアブリッジ (エレベーター、エスカレーター) 出口すぐのところに、公正屋コモアプラザ店はあります。
今回訪れたのは「コモアしおつ」というニュータウンに立地する店舗なのですが、山を切り開いて造成されたためアクセス手段が特殊で、閉鎖商圏にも近い環境であるため、店舗以外の写真も掲載いたします。
こちらが中央本線四方津駅です。
駅前にはコンビニも無い山奥の小さな駅です。

駅からは一直線に山の上に向かって、ガラスのドームに覆われたエスカレーター、エレベーターが伸びています。
エスカレーターは朝夕の片方向運転で、昼間はエレベーターのみ使用可能となっています。
ちなみに所要時間はエレベーター約4分、エスカレーター約6分です。

エレベーターの中からの景色。
エレベーターと言っても斜めに進みます。

エスカレーターを降りてすぐの所に立地するのが公正屋などが入る「コモアプラザ」です。

別角度から。屋上駐車場もあり、平面と合わせ142台を確保。
国道20号からの道路も繋がっており、車で買い物に出かけることも可能ですので、完全な閉鎖商圏という訳ではありません。

屋上からの眺め。山に囲まれています。

第二種大規模小売店舗表示板。
「コモアしおつ」の造成を行った積水ハウスが所有しています。

公正屋入口。

直営でベーカリーを導入。
工夫を凝らした美味しそうな商品が並んでいました。

コモアブリッジに近い入口から入ると青果売場から見て回ることが出来ます。

果物コーナー。

贈答用の高級な果物も販売しています。

カットフルーツコーナー。
様々な果物が入った商品は「フルーツサラダ」という名称で販売します。

都市部のスーパーではまず見ることが無い種類の山菜が充実していました。

続く鮮魚売場。
きんき、太刀魚、かますなど丸々1尾の鮮魚も販売

お刺身は中トロが入る5点盛りで1780円など、ファミリー層向けの上質志向な品揃え。

山梨県が名産のあわびの煮貝も販売されています。

珍味類も充実しています。

和日配コーナー。
同じメーカーの商品でも、うどんと並んでほうとうが陳列されているのが山梨県らしいですね。

精肉売場。
店内加工を実施しています。上質な国産牛ステーキ肉など展開。

国産鶏もも肉は100g99円の品に加え、富士山麓鶏もも肉100g138円などワンランク上のアイテムも販売。

売場ごとに野菜、魚、牛といったイラストが天井に描かれています。

加工食品売場。

6店舗しか展開していない中小スーパーとしては大手NBの価格が抑えられています。
公正屋は岐阜県を地盤とする中堅スーパー「バロー」の傘下に入っており、仕入れは共通化しているようです。

バローのPBも一部見られますが、比率は高くありません。

惣菜売場はレジを挟んで生鮮品や加工食品とは反対側に配置されています。
店内で調理した弁当を種類豊富に揃えます。

山梨県が全国で支出額3位という焼き鳥も充実。
串に刺さっていないタイプや盛り合わせも用意しています。

和惣菜コーナー。

30貫入りの握り寿司など「ハレの日」需要に対応したアイテムも販売。

食料品売場とは別の区画に飲料・酒、日用消耗品と100円ショップのコーナーを設置。

ケースでの販売にも力を入れています。

100円ショップはワッツが運営するシルクが入居。ただし会計は公正屋のレジで行います。
食料品レジとは別に、日用品などのコーナーにもレジが1台設置されています。

地元小学校の体操服なども販売されていました。
公正屋コモアプラザ店 店舗概要開業: 1992年4月1日
売場面積: 1129㎡
営業時間: 9:00~20:00
住所: 山梨県上野原市コモアしおつ3-20-12
駐車場: 142台
HP:
https://kohseiya.co.jp/shop03.html 店内・売場の様子時間帯: 12時頃
客数: 多い
客層: 老若男女問わず
買い物内容: 生鮮、惣菜中心に多め
売場の雰囲気: 上質感
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品レジ: 通常レジ4台(3台稼働中)
完全セルフレジ: 無し
トイレ: 普通
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: あり(直営)
プライベートブランド: バローVセレクト「くらしの応援団」「いつもの上質」
バブル期の土地高騰のさなか、郊外でのマイホーム需要を見込んで1987年に積水ハウスが四方津駅の北側を造成し、1991年に戸建販売を開始したニュータウン「コモアしおつ」。現在は1200世帯、約3500人が暮らしています。最寄り駅である山梨県上野原市の四方津駅は、東京駅から中央線で約1時間30分。駅前からはコモア・ブリッジと呼ばれるエスカレーターと斜行エレベーターで高台にある「コモアしおつ」は結ばれています。
そんな「コモアしおつ」にある唯一のスーパーが「公正屋コモアプラザ店」です。公正屋は鮮魚専門店として1981年創業。1985にはスーパーマーケット1号店となる上野原店をオープンさせます。1992年に「しおつ店」をオープンさせ、1995年に現在の建物へ移転し「コモアプラザ店」へと改称しました。2016年には岐阜県を中心に展開するバローの傘下に入り、2019年には神奈川県にも進出しました。2022年現在は山梨県5店、神奈川県1店の計6店舗を運営しており、2021年3月期決算の売上高は85億円となっています。
公正屋コモアプラザ店 で非常に興味深いのは、その商圏人口です。先述の通りコモアしおつの人口は3500人、四方津駅付近や国道20号沿いに住む「上野原市四方津」住民約900人を加えても、その数は4400人です。一般的にコンビニエンスストアが営業するのに必要な商圏人口が約3000人、食料品がメインのスーパーマーケットでは5000人から1万人と言われます。一見すると公正屋の運営は非常に厳しいものに思われますが、実は年商12億円を稼ぎ(日本スーパー名鑑より)、訪れた際にも店内は多くのお客さんで賑わっていました。競合となる小売店や、中食と需要が重なる飲食店がほぼ存在せず、地域外に顧客が流出しないよう魅力的な店舗運営に努めれば、少ない商圏人口でも十分経営が成り立つということでしょう。売場面積は1129平米と郊外としてはやや小さめですが、食料品売場の他に日用消耗品も販売し、100円ショップ、ベーカリー、花屋も入り、普段の生活には困りません。
食料品売場は青果、鮮魚、精肉と続き、レジを挟んで惣菜売場が配置されています。果物は贈答用の高級品も取り扱い、みかんは箱売りも種類豊富に用意されています。野菜では都市部のスーパーではあまり見られない山菜が充実。一方で単身者が少ないためか少量パックの取り扱いが少なく感じられました。
鮮魚売場ではきんき、太刀魚、かますなど丸々1尾の鮮魚も販売。お刺身は5点盛り1000円、同じく5点盛りで中トロが入ると1780円などファミリー層向けのサイズが中心のラインナップです。切身も十分に揃えているほか、山梨県名産のあわびの煮貝や珍味も充実していました。精肉売場は店内加工を実施。1枚2000円を超える国産牛サーロインステーキや馬刺しも販売しています。豚肉や鶏肉は標準的なアイテムですが、価格はそれなりに安く提供されています。
惣菜では土曜日ということもあって30貫入りの握り寿司やオードブルなどを販売し、「ハレの日」需要に対応します。山梨県が全国3位の支出額だという焼き鳥も充実。お弁当は298円とお手頃価格から具沢山な498円まで幅広く、全て店内料理で提供されており魅力的です。店内手作りの和菓子コーナーも導入されていました。ベーカリーは直営で運営されており、手の込んだ美味しそうな商品も見られました。
和日配コーナーでは山梨県ということもあり、うどんやそばに並んでほうとうも販売されています。加工食品売場では高級品・こだわりの品はあまり扱っていませんが、大手ナショナルブランドはこの規模の中小スーパーとしては価格が抑えられています。バローグループのプライベートブランドも見られますが、比率としてはあまり高くありません。
レジは4台設置されており、混雑時にはフル稼働する時もありました。客層も土曜日ということもあり老若男女問わず訪れており、子供たちだけでの利用も見られました。客単価も高く、基本的にはカゴ一杯買い物されており、家族連れなどはカゴ2個分購入する姿も見られました。商圏に住む全員が戸建て住宅に住んでいると考えると合点がいきますが、高単価な商品も豊富に揃えられており、上質志向な品揃えでした。これからもお客様に支持される、地域密着のスーパーとして期待したいですね。