佐世保玉屋
- 2022/10/17
- 23:13
長崎県佐世保市。
松浦鉄道の佐世保中央駅から徒歩5分程度のところに、佐世保玉屋はあります。
店舗外観。
佐世保市中心街の三ヶ町商店街に面しています。

正面入口。

店舗全景はアーケード商店街があるため撮影が難しいです。

屋上広告塔は2つ設置されています。

店舗裏手より。

店舗側面の歩道にも屋根を設けています。

連絡通路で結ばれているのは事務所棟で、直営の駐車場は設けていません。
土日祝に限り提携駐車場が利用できますが、3240円で1時間、10800円で2時間無料と、かなりハードルが高くなっています。

屋上広告塔。鳥居も見えます。

側面の入口。ガラスにはバラが描かれています。

2021年度には頻繁に催事を行っていましたが、2022年に入ってからはお中元お歳暮以外の催事を行う頻度が下がっているようです。

大規模小売店舗表示板。

佐世保玉屋のプレート。

佐世保玉屋は2020年10月より売場を縮小していますが、店内に掲示されている一部フロアガイドは縮小前の案内でした。

こちらは縮小後のフロアガイド。
催事場やレストランを除いて1~5階だった売り場を1~3階に縮小しています。

「しあわせはバラの包みをひらくとき。」
玉屋は高島屋主宰のハイランドグループに加盟しており、イメージフラワーは「バラ」となっています。

まずは1階から見ていきます。
地下食品売場が無いため、1階に化粧品、婦人服飾と食料品を配置。

化粧品コーナー。

婦人服飾雑貨。
天井からはバラのイラストが飾られています。

百貨店らしい高級感ある空間を演出します。

食料品売場導入部。

生鮮3品は品質志向な品揃え。胡蝶蘭も飾られています。

百貨店らしい対面販売のコーナーと、食品スーパーとしても利用できるセルフサービスコーナーを共存させています。

今となっては全国的にも珍しい回るお菓子売場も設置されています。
正式名称を「Gram(グラム)」といい、名古屋市に本社を置く菓子メーカー「松風屋」が開発製造。同社の取り扱うお菓子を量り売りで販売しています。

2階は婦人服、紳士服、子供服などのフロア。

通路部分は古い小学校のような床です。

子供向け玩具コーナー。

服飾雑貨、婦人靴などのコーナー。

3階は婦人服と住まいの品フロア。

3階キッチン用品コーナー。
大手百貨店と比べると古めかしい印象ですが、スポット照明も導入されており煌びやかな売場演出の努力は感じられます。

エスカレーターもかなり年季が入っています。

4階から上層階は閉鎖されています。

階段も封鎖されています。

1カ所のみ男子トイレが利用できるように4階に立ち入ることが出来ますが、売場は遮られており窺うことは出来ません。

佐世保玉屋 店舗概要
開業: 1920年(現在の建物)
売場面積: 不明(売場縮小前は17507㎡:日経MJより)
営業時間: 10:30~18:30
住所: 長崎県佐世保市栄町2番1号
駐車場: 無し
HP: http://www.sasebo-tamaya.co.jp/
今回は長崎県佐世保市にある百貨店「佐世保玉屋」を訪れました。佐世保玉屋のルーツとなる「田中丸商店」は1806年(文化3年)に創業。1894年には佐世保市へ進出し、1918年には「株式会社田中丸呉服店」として百貨店を開業。1920年には現在の土地に4階建ての建物で開店しています。現在の店舗は地上8階建て、延べ床面積約20120㎡、1968年までに何度か増築されているそうです。かつては一族が経営する企業が小倉、博多、諫早、伊万里などにも店舗を構えていましたが、いずれも営業を終了しています。佐世保玉屋も2014年に長崎支店を閉鎖した結果、「玉屋」の屋号の百貨店は佐世保と佐賀に2社2店舗となりました。
佐世保玉屋の売上高は(日経MJ百貨店調査より)
2015年度93億4800万円
2016年度78億4300万円
2017年度66億7400万円
2018年度59億3100万円
2019年度55億7800万円
2020年度34億500万円
2021年度28億7400万円
となっています。2019年度を除いて毎年10%以上の売上減少が続いており、苦境に立たされている百貨店業界の中でも特に厳しい経営状況となっています。少し古い資料ですが2018年2月期の決算公告を見ると、純利益8700万円、利益剰余金6700万円と非常に厳しい経営のようですが、資本準備金が11億400万円あり、すぐには債務超過に陥らない水準にあります。一方でこの当時より直近の売上高は半減しており、赤字転落は避けられないのではないでしょうか。
2020年10月には催事場やレストランを除いて1~5階だった売り場を1~3階に縮小して営業を継続しています。縮小以降も2021年度には頻繁に催事を行っており6~7階にも立ち入ることが出来ていましたが、2022年に入ってからはお中元お歳暮以外の催事を行う頻度が下がっているようです。現在の営業時間は10時30分から18時30分と百貨店としては短く設定されており、開店作業と閉店作業の時間を含めても1人が8時間労働(1時間休憩ありで9時間店舗にいる状態)で勤務できる時間となっています。また、他社の「友の会」にあたる「玉屋おたのしみ会」の新規募集及び現会員の次年度の更新を「基幹システム入れ替えの為」として2022年8月末をもって停止しており、閉店に向けた準備とも受け取れます。
売場を見て回りましたが、平日の昼間から一定の集客は出来ており、食品フロアだけでなく高齢者を中心に衣料品フロアにもお客さんの姿が見られました。1階にあるラビアンローズのサンドイッチはメディアに取り上げられる機会も多く、実際に買い求めるお客さんで繁盛しており、人気を博ています。一方で店舗の床は歪んだように感じられ、建物の老朽化を身に染みて感じました。
2013年施行の改正耐震改修促進法は、1981年以前の着工で、不特定多数が利用する3階建て以上かつ延べ床面積5千平方メートル以上の建物について、耐震診断を行って市や県に報告することを義務づけています。佐世保市は2017年、同法に基づいて耐震診断結果の報告を求めており、2018年3月に佐世保玉屋は「2022年3月末までに現店舗の取り壊しに着手する計画」であることを市に伝えました。しかし、佐世保玉屋は期日以降も営業を継続しており、市は2022年6月に「来年5月末までに工事に着手しない場合は、耐震診断結果を報告するよう」新たな命令を出しています。佐世保玉屋では現在、周辺の商店などと準備組合を設立し、再開発ビルの建設に向けた協議を続けているようですが、営業をいつまで継続できるか不透明な情勢となっています。
松浦鉄道の佐世保中央駅から徒歩5分程度のところに、佐世保玉屋はあります。
店舗外観。
佐世保市中心街の三ヶ町商店街に面しています。

正面入口。

店舗全景はアーケード商店街があるため撮影が難しいです。

屋上広告塔は2つ設置されています。

店舗裏手より。

店舗側面の歩道にも屋根を設けています。

連絡通路で結ばれているのは事務所棟で、直営の駐車場は設けていません。
土日祝に限り提携駐車場が利用できますが、3240円で1時間、10800円で2時間無料と、かなりハードルが高くなっています。

屋上広告塔。鳥居も見えます。

側面の入口。ガラスにはバラが描かれています。

2021年度には頻繁に催事を行っていましたが、2022年に入ってからはお中元お歳暮以外の催事を行う頻度が下がっているようです。

大規模小売店舗表示板。

佐世保玉屋のプレート。

佐世保玉屋は2020年10月より売場を縮小していますが、店内に掲示されている一部フロアガイドは縮小前の案内でした。

こちらは縮小後のフロアガイド。
催事場やレストランを除いて1~5階だった売り場を1~3階に縮小しています。

「しあわせはバラの包みをひらくとき。」
玉屋は高島屋主宰のハイランドグループに加盟しており、イメージフラワーは「バラ」となっています。

まずは1階から見ていきます。
地下食品売場が無いため、1階に化粧品、婦人服飾と食料品を配置。

化粧品コーナー。

婦人服飾雑貨。
天井からはバラのイラストが飾られています。

百貨店らしい高級感ある空間を演出します。

食料品売場導入部。

生鮮3品は品質志向な品揃え。胡蝶蘭も飾られています。

百貨店らしい対面販売のコーナーと、食品スーパーとしても利用できるセルフサービスコーナーを共存させています。

今となっては全国的にも珍しい回るお菓子売場も設置されています。
正式名称を「Gram(グラム)」といい、名古屋市に本社を置く菓子メーカー「松風屋」が開発製造。同社の取り扱うお菓子を量り売りで販売しています。

2階は婦人服、紳士服、子供服などのフロア。

通路部分は古い小学校のような床です。

子供向け玩具コーナー。

服飾雑貨、婦人靴などのコーナー。

3階は婦人服と住まいの品フロア。

3階キッチン用品コーナー。
大手百貨店と比べると古めかしい印象ですが、スポット照明も導入されており煌びやかな売場演出の努力は感じられます。

エスカレーターもかなり年季が入っています。

4階から上層階は閉鎖されています。

階段も封鎖されています。

1カ所のみ男子トイレが利用できるように4階に立ち入ることが出来ますが、売場は遮られており窺うことは出来ません。

佐世保玉屋 店舗概要
開業: 1920年(現在の建物)
売場面積: 不明(売場縮小前は17507㎡:日経MJより)
営業時間: 10:30~18:30
住所: 長崎県佐世保市栄町2番1号
駐車場: 無し
HP: http://www.sasebo-tamaya.co.jp/
今回は長崎県佐世保市にある百貨店「佐世保玉屋」を訪れました。佐世保玉屋のルーツとなる「田中丸商店」は1806年(文化3年)に創業。1894年には佐世保市へ進出し、1918年には「株式会社田中丸呉服店」として百貨店を開業。1920年には現在の土地に4階建ての建物で開店しています。現在の店舗は地上8階建て、延べ床面積約20120㎡、1968年までに何度か増築されているそうです。かつては一族が経営する企業が小倉、博多、諫早、伊万里などにも店舗を構えていましたが、いずれも営業を終了しています。佐世保玉屋も2014年に長崎支店を閉鎖した結果、「玉屋」の屋号の百貨店は佐世保と佐賀に2社2店舗となりました。
佐世保玉屋の売上高は(日経MJ百貨店調査より)
2015年度93億4800万円
2016年度78億4300万円
2017年度66億7400万円
2018年度59億3100万円
2019年度55億7800万円
2020年度34億500万円
2021年度28億7400万円
となっています。2019年度を除いて毎年10%以上の売上減少が続いており、苦境に立たされている百貨店業界の中でも特に厳しい経営状況となっています。少し古い資料ですが2018年2月期の決算公告を見ると、純利益8700万円、利益剰余金6700万円と非常に厳しい経営のようですが、資本準備金が11億400万円あり、すぐには債務超過に陥らない水準にあります。一方でこの当時より直近の売上高は半減しており、赤字転落は避けられないのではないでしょうか。
2020年10月には催事場やレストランを除いて1~5階だった売り場を1~3階に縮小して営業を継続しています。縮小以降も2021年度には頻繁に催事を行っており6~7階にも立ち入ることが出来ていましたが、2022年に入ってからはお中元お歳暮以外の催事を行う頻度が下がっているようです。現在の営業時間は10時30分から18時30分と百貨店としては短く設定されており、開店作業と閉店作業の時間を含めても1人が8時間労働(1時間休憩ありで9時間店舗にいる状態)で勤務できる時間となっています。また、他社の「友の会」にあたる「玉屋おたのしみ会」の新規募集及び現会員の次年度の更新を「基幹システム入れ替えの為」として2022年8月末をもって停止しており、閉店に向けた準備とも受け取れます。
売場を見て回りましたが、平日の昼間から一定の集客は出来ており、食品フロアだけでなく高齢者を中心に衣料品フロアにもお客さんの姿が見られました。1階にあるラビアンローズのサンドイッチはメディアに取り上げられる機会も多く、実際に買い求めるお客さんで繁盛しており、人気を博ています。一方で店舗の床は歪んだように感じられ、建物の老朽化を身に染みて感じました。
2013年施行の改正耐震改修促進法は、1981年以前の着工で、不特定多数が利用する3階建て以上かつ延べ床面積5千平方メートル以上の建物について、耐震診断を行って市や県に報告することを義務づけています。佐世保市は2017年、同法に基づいて耐震診断結果の報告を求めており、2018年3月に佐世保玉屋は「2022年3月末までに現店舗の取り壊しに着手する計画」であることを市に伝えました。しかし、佐世保玉屋は期日以降も営業を継続しており、市は2022年6月に「来年5月末までに工事に着手しない場合は、耐震診断結果を報告するよう」新たな命令を出しています。佐世保玉屋では現在、周辺の商店などと準備組合を設立し、再開発ビルの建設に向けた協議を続けているようですが、営業をいつまで継続できるか不透明な情勢となっています。