マエダガーラモール店
- 2022/11/29
- 12:51
青森県青森市。
JR新青森駅から徒歩15分程度のところに、マエダガーラモール店はあります。
こちらの店舗は2023年5月を目途に閉店が予定されています。
ショッピングセンター「ガーラタウン」に出店します。
建物自体は2000年6月に「ハイパーモールジョイシティ」として開業。核テナントは当時の青森県最大手スーパー「亀屋みなみチェーン」が運営する「ジョイフルシティみなみ西バイパス店」でしたが、同社は2001年に経営破綻。マエダは2003年6月に居抜きで出店しました。20年間の建物賃貸借契約を結んでおり、マエダ側は営業継続に向け再契約交渉を進めてきましたが、11月2日には「金銭面や設備面などで建物の管理会社と契約更新の合意に至らなかった」と発表されました。5月25日には契約満了を迎えるため、それ以前に閉店となる見込みです。

付近に点在するトイザらス、スポーツデポ、西松屋などと合わせて「ガーラタウン」を形成しており、こちらの建物はその内のA棟と呼ばれるものです。マエダが一括で借りたうえでテナントへ貸し出しているため、A棟に入居するテナントは来年5月までに閉店となります。

少し見えずらいですが、青森駅との間を結ぶシャトルバスも停車しています。マエダで買い物をすると無料乗車券が貰えます。

別角度から。

こちらが正面入口です。
駐車場は平面と立体合わせて837台を確保しています。

向かいには2021年8月29日で営業を終了した「青森コロナワールド」の跡地が空き店舗のまま残っています。市内唯一のシネマコンプレックスなどが入るアミューズメント施設でしたが、こちらも建物賃貸借契約の更新が地権者との間で合意に至らなかったため閉店となりました。

こちらがガーラタウンA棟のフロアガイドです。

まずはマエダ直営、1階の食料品売場から見ていきます。「フードスクエア」と聞くとカスミを思い出します。青果導入部では地元農家が生産した新鮮な野菜を非常に大きく展開。

様々な品種のりんごも取り扱い。

巨大な白菜も販売するほか、キャベツ、りんごのまとめ売りも実施します。

導入部のボリューム感ある陳列。
流通専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」が各食品メーカーとタイアップしている「ディスプレイコンテスト」に応募しているのでしょうか。

熊本県産「夢未来みかん」をボリューム展開。
大きなPOPも手作り感があって良いですね。

西友でよく見かけるような青果台を使っています。

青森県の特産品と言えばりんごですが、他社も含め青果売場のりんごは極端に品揃えが良い印象はありません。一方でりんごジュースはどの企業でも充実しており、関東地区ではまず見られないアイテム数をケース販売しています。

和日配の納豆コーナー。
地元青森県の太子食品工業の商品が多く並びます。

豆腐コーナー。
半分以上のアイテムが太子食品工業の商品です。

鮮魚売場。
調理場の見える対面販売形式ではありません。

青森県内の漁港で水揚げされた近海魚などを品揃え。

一方でお刺身はプロセスセンター加工を実施しており、鮮度感の訴求はいまひとつ。

精肉売場もプロセスセンターから供給します。

上質な青森県産黒毛和牛「倉石牛」を販売。

ブラジル産鶏もも肉(100g88円)など価格訴求も行う一方、青森県産「下北鶏」など地元の銘柄肉を展開します。

冷凍肉コーナーではジンギスカンやホルモンなど取り扱い。

惣菜売場。
先頭には「マザー・クック」というベーカリーコーナーを配置。

商品自体はベーカリーで見られるようなアイテムが多いですが、製造者が「マエダ ベーカリープロセスセンター」となっており驚きました。焼き立てであることが第一の価値であるベーカリーにおいて、プロセスセンター加工を実施してしまうのは異例です。

イオンなどがアウトパック化を進めるお弁当は店内調理の品が多く並んでいました。

1人前490円の握り寿司などお手頃な価格帯の商品も販売。

牛乳コーナー。
CGCに加盟するためCGC牛乳も販売しますが、メインは地元企業の商品です。

加工食品売場。

日用消耗品なども1階で揃えます。

味噌コーナー。

3kgという巨大サイズも販売します。

醬油コーナー。1.8Lサイズの地場商品も導入します。

青森県十和田市に本社を置くワダカンの醤油「グローリィ」をエンドで展開。

ドレッシングコーナー。
大手ナショナルブランドとCGC商品が中心ではあるものの、SKU数を増やしており選択肢は十分確保されています。

前述のりんごジュースはこのようにケース販売を中心として圧倒的な品揃え。
青森県はりんごの生産量では1位ですが、支出額は長野県、秋田県に次いで3位(2020年家計調査)となっています。一方で「果実・野菜ジュース」の支出額は1位となっており、りんごジュースの影響が大きいと考えられます。

クリスマス関連商品コーナーの飾り付けは良く出来ていました。

「コストコ・セール」と称してコストコで仕入れた商品をコーナー展開して売り込みます。

何故か食品だけでなく「くまのぬいぐるみ」も販売していました。

2階直営衣料品売場。

婦人服売場。

大きな吹き抜けも設置されています。

売場も広く充実した品揃えですが、大手総合スーパーのような細やかな品揃えには届きません。

小中学校の指定ジャージも販売。

紳士服は扱いが少なめ。

トトロのタオルが多く並んでいます。

売場は狭いものの寝具も取り扱います。

1階に入居する100円ショップ「セリア」

2階に入居する100円ショップ「ダイソー」
そこまで規模の大きい商業施設ではありませんが、100円ショップが2店出店しています。さくら野百貨店北上店でも見られましたが、お互いに採算は取れているのでしょうか。

2階に入居する靴専門店「アスビー」
写真を撮り忘れましたが、1階には「ABCマート」が入居しており、こちらも同じ業態が施設内で競合します。

2階に入居する「未来屋書店」
イオン系の企業が多く見られます。

マエダガーラモール店 店舗概要
開業: 2003年06月25日
売場面積: マエダ直営5073㎡、テナント区画9105㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間: あさ9:00~よる9:00
住所: 青森県青森市三好2-3-19
駐車場: 837台(無料)
HP: https://i-maeda.jp/store.html?id=9
店内・売場の様子
時間帯: 14時頃
客数: やや少ない
客層: 主婦、高齢者中心
買い物内容: 生鮮、日配中心にやや多め
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: やや良い
接客対応: 普通
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: マエダミートプロセスセンター
鮮魚加工者: 自社店内、マエダ水産プロセスセンター
食品レジ: 通常レジ0台、セミセルフレジ6台(2台稼働中)、精算機12台
完全セルフレジ: 6台
トイレ: きれい
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: CGC
株式会社マエダは青森県むつ市に本社を置き、青森県内に37店舗を展開するスーパーマーケットです。2022年3月期決算の売上高は355億6600万円。1951年に前田雑穀店として創業後、1977年に株式会社マエダ百貨店を設立。1999年にマエダ百貨店から株式会社マエダに商号を変更し、チェーンストアとして県内へ展開していきます。
2014年には式会社おーばんHD(山形県天童市)・フレスコ株式会社(福島県相馬市)・株式会社マイヤ(岩手県大船渡市)・株式会社マエダ(青森県むつ市)の4社が経営統合しマークスホールディングスを設立。マエダは4社の中で最大規模を有しており、マエダの前田恵三社長はマークスHDの会長を兼任しています。
今回訪れた「ガーラモール店」は2023年5月25日の建物賃貸借契約満了に伴い、閉店が発表されています。現時点での最終営業日は未定。建物自体は2000年6月に「ハイパーモールジョイシティ」として開業。核テナントは当時青森県最大手のスーパーであった亀屋みなみチェーンが運営する「ジョイフルシティみなみ西バイパス店」でしたが、同社は2001年に経営破綻。マエダは2003年6月に居抜きで出店し、その際に20年間の建物賃貸借契約を結んでいました。
2021年3月期での売上はテナントを含めたガーラモール全体で約40億円、スーパーのみで約20億円に上り、経営は順調でした。マエダ側は営業継続に向け再契約交渉を進めてきましたが、2022年11月2日の会見で「金銭面や設備面などで建物の管理会社と契約更新の合意に至らなかった」と発表しました。ガーラモールに出店するテナントも同時に営業を終了する予定となっています。
個人的な憶測ですが、亀屋みなみチェーン破綻に伴う空き店舗ということもあり、2003年当時の賃料が格安だったのではないでしょうか。再契約の条件として提示された賃料が著しく増加しており、マエダとしては契約を諦めざるを得ない水準だったと考えられます。一方で、同じく再契約の合意に至らずに閉店した青森コロナワールド跡地に出店する企業が現れないことから、家主が賃料を相場と比べ割高に設定している可能性もあります。
食料品売場は2000㎡超えで広々とした売場空間となっています。入口から青果、鮮魚、精肉、惣菜と続く一般的な配置。青果導入部では地元農家が生産した新鮮な野菜を非常に大きく展開しており、様々な品種のりんごや規格外の大きさの白菜や大根など、一般的なスーパーでは並ばない商品も含めて面白みのある商品が見られます。みかんやりんご、柿など季節の果物は量感ある陳列が行われていますが、高級な果物や珍しい野菜などは扱っていません。
鮮魚売場は青森県内の漁港で水揚げされた生いわしや生あじなど近海魚を販売しますが、多くの切身やお刺身はプロセスセンター加工を実施。お刺身はアイテム数も限られ、厨房が見えない構造という事もあり鮮度感の訴求はいまひとつに感じられます。精肉もプロセスセンター加工を実施。上質な青森県産黒毛和牛「倉石牛」や青森県産「下北鶏」など地元の銘柄肉を展開し、こだわり需要に対応します。味付け肉やホルモン、個食鍋は充実していますが、こういった郊外立地ではよく売れるはずのジャンボパック(大容量パック)はあまり販売されていません。
惣菜では「マザー・クック」というコーナーでベーカリー商品も販売しますが、製造者が「マエダ ベーカリープロセスセンター」となっており驚きました。商品自体はベーカリーで見られるようなアイテムが多いですが、製造日より2日から3日の期限があるのが特徴で、密閉された包装を実施しています。焼き立てであることが第一の価値であるベーカリーにおいて、プロセスセンター加工を実施してしまうというのは聞いたことがありません。「パン工場直送コーナー」などを設けるスーパーはあるものの、ベーカリー用の売場にあらかじめ包装されたパンを仕入れて陳列することは異例で、お客様本位でないと思いますが効率化を目指した結果なのでしょう。
その他惣菜売場では店内調理のお弁当や揚げ物など並びますが凝った商品はあまり見られません。1人前490円の握り寿司などお手頃な価格帯の商品は並んでいました。
加工食品は大手ナショナルブランドとCGC商品が中心ではあるものの、地場商品も含めてSKU数を増やしており、選択肢は十分確保されています。売場の一角では「コストコ・セール」と称してコストコで仕入れた商品をコーナー展開して売り込みますが、お客さんは疎ら。何故か食品だけでなく「くまのぬいぐるみ」も仕入れて販売していました。
食品レジはセミセルフレジ6台(2台稼働中)と完全セルフレジ6台を設置しますが、完全セルフレジは利用が浸透しておらず、有人レジにお客さんが並んでいる場面が多く見られました。客単価はそれなりに高いですが、競合カブセンター西青森店に客数は大きく差を付けられています。カブセンターはセミセルフレジ17台を配置しており、売上は郊外立地の食品スーパーとしては驚異的な30億円を超えると推定されます。マエダの年商は昨年度およそ19億7000万円(日本スーパー名鑑より)となっており、繁盛店であることに違いは無いのですが地域1番店ではありません。
JR新青森駅から徒歩15分程度のところに、マエダガーラモール店はあります。
こちらの店舗は2023年5月を目途に閉店が予定されています。
ショッピングセンター「ガーラタウン」に出店します。
建物自体は2000年6月に「ハイパーモールジョイシティ」として開業。核テナントは当時の青森県最大手スーパー「亀屋みなみチェーン」が運営する「ジョイフルシティみなみ西バイパス店」でしたが、同社は2001年に経営破綻。マエダは2003年6月に居抜きで出店しました。20年間の建物賃貸借契約を結んでおり、マエダ側は営業継続に向け再契約交渉を進めてきましたが、11月2日には「金銭面や設備面などで建物の管理会社と契約更新の合意に至らなかった」と発表されました。5月25日には契約満了を迎えるため、それ以前に閉店となる見込みです。

付近に点在するトイザらス、スポーツデポ、西松屋などと合わせて「ガーラタウン」を形成しており、こちらの建物はその内のA棟と呼ばれるものです。マエダが一括で借りたうえでテナントへ貸し出しているため、A棟に入居するテナントは来年5月までに閉店となります。

少し見えずらいですが、青森駅との間を結ぶシャトルバスも停車しています。マエダで買い物をすると無料乗車券が貰えます。

別角度から。

こちらが正面入口です。
駐車場は平面と立体合わせて837台を確保しています。

向かいには2021年8月29日で営業を終了した「青森コロナワールド」の跡地が空き店舗のまま残っています。市内唯一のシネマコンプレックスなどが入るアミューズメント施設でしたが、こちらも建物賃貸借契約の更新が地権者との間で合意に至らなかったため閉店となりました。

こちらがガーラタウンA棟のフロアガイドです。

まずはマエダ直営、1階の食料品売場から見ていきます。「フードスクエア」と聞くとカスミを思い出します。青果導入部では地元農家が生産した新鮮な野菜を非常に大きく展開。

様々な品種のりんごも取り扱い。

巨大な白菜も販売するほか、キャベツ、りんごのまとめ売りも実施します。

導入部のボリューム感ある陳列。
流通専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」が各食品メーカーとタイアップしている「ディスプレイコンテスト」に応募しているのでしょうか。

熊本県産「夢未来みかん」をボリューム展開。
大きなPOPも手作り感があって良いですね。

西友でよく見かけるような青果台を使っています。

青森県の特産品と言えばりんごですが、他社も含め青果売場のりんごは極端に品揃えが良い印象はありません。一方でりんごジュースはどの企業でも充実しており、関東地区ではまず見られないアイテム数をケース販売しています。

和日配の納豆コーナー。
地元青森県の太子食品工業の商品が多く並びます。

豆腐コーナー。
半分以上のアイテムが太子食品工業の商品です。

鮮魚売場。
調理場の見える対面販売形式ではありません。

青森県内の漁港で水揚げされた近海魚などを品揃え。

一方でお刺身はプロセスセンター加工を実施しており、鮮度感の訴求はいまひとつ。

精肉売場もプロセスセンターから供給します。

上質な青森県産黒毛和牛「倉石牛」を販売。

ブラジル産鶏もも肉(100g88円)など価格訴求も行う一方、青森県産「下北鶏」など地元の銘柄肉を展開します。

冷凍肉コーナーではジンギスカンやホルモンなど取り扱い。

惣菜売場。
先頭には「マザー・クック」というベーカリーコーナーを配置。

商品自体はベーカリーで見られるようなアイテムが多いですが、製造者が「マエダ ベーカリープロセスセンター」となっており驚きました。焼き立てであることが第一の価値であるベーカリーにおいて、プロセスセンター加工を実施してしまうのは異例です。

イオンなどがアウトパック化を進めるお弁当は店内調理の品が多く並んでいました。

1人前490円の握り寿司などお手頃な価格帯の商品も販売。

牛乳コーナー。
CGCに加盟するためCGC牛乳も販売しますが、メインは地元企業の商品です。

加工食品売場。

日用消耗品なども1階で揃えます。

味噌コーナー。

3kgという巨大サイズも販売します。

醬油コーナー。1.8Lサイズの地場商品も導入します。

青森県十和田市に本社を置くワダカンの醤油「グローリィ」をエンドで展開。

ドレッシングコーナー。
大手ナショナルブランドとCGC商品が中心ではあるものの、SKU数を増やしており選択肢は十分確保されています。

前述のりんごジュースはこのようにケース販売を中心として圧倒的な品揃え。
青森県はりんごの生産量では1位ですが、支出額は長野県、秋田県に次いで3位(2020年家計調査)となっています。一方で「果実・野菜ジュース」の支出額は1位となっており、りんごジュースの影響が大きいと考えられます。

クリスマス関連商品コーナーの飾り付けは良く出来ていました。

「コストコ・セール」と称してコストコで仕入れた商品をコーナー展開して売り込みます。

何故か食品だけでなく「くまのぬいぐるみ」も販売していました。

2階直営衣料品売場。

婦人服売場。

大きな吹き抜けも設置されています。

売場も広く充実した品揃えですが、大手総合スーパーのような細やかな品揃えには届きません。

小中学校の指定ジャージも販売。

紳士服は扱いが少なめ。

トトロのタオルが多く並んでいます。

売場は狭いものの寝具も取り扱います。

1階に入居する100円ショップ「セリア」

2階に入居する100円ショップ「ダイソー」
そこまで規模の大きい商業施設ではありませんが、100円ショップが2店出店しています。さくら野百貨店北上店でも見られましたが、お互いに採算は取れているのでしょうか。

2階に入居する靴専門店「アスビー」
写真を撮り忘れましたが、1階には「ABCマート」が入居しており、こちらも同じ業態が施設内で競合します。

2階に入居する「未来屋書店」
イオン系の企業が多く見られます。

マエダガーラモール店 店舗概要
開業: 2003年06月25日
売場面積: マエダ直営5073㎡、テナント区画9105㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間: あさ9:00~よる9:00
住所: 青森県青森市三好2-3-19
駐車場: 837台(無料)
HP: https://i-maeda.jp/store.html?id=9
店内・売場の様子
時間帯: 14時頃
客数: やや少ない
客層: 主婦、高齢者中心
買い物内容: 生鮮、日配中心にやや多め
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: やや良い
接客対応: 普通
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: マエダミートプロセスセンター
鮮魚加工者: 自社店内、マエダ水産プロセスセンター
食品レジ: 通常レジ0台、セミセルフレジ6台(2台稼働中)、精算機12台
完全セルフレジ: 6台
トイレ: きれい
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: CGC
株式会社マエダは青森県むつ市に本社を置き、青森県内に37店舗を展開するスーパーマーケットです。2022年3月期決算の売上高は355億6600万円。1951年に前田雑穀店として創業後、1977年に株式会社マエダ百貨店を設立。1999年にマエダ百貨店から株式会社マエダに商号を変更し、チェーンストアとして県内へ展開していきます。
2014年には式会社おーばんHD(山形県天童市)・フレスコ株式会社(福島県相馬市)・株式会社マイヤ(岩手県大船渡市)・株式会社マエダ(青森県むつ市)の4社が経営統合しマークスホールディングスを設立。マエダは4社の中で最大規模を有しており、マエダの前田恵三社長はマークスHDの会長を兼任しています。
今回訪れた「ガーラモール店」は2023年5月25日の建物賃貸借契約満了に伴い、閉店が発表されています。現時点での最終営業日は未定。建物自体は2000年6月に「ハイパーモールジョイシティ」として開業。核テナントは当時青森県最大手のスーパーであった亀屋みなみチェーンが運営する「ジョイフルシティみなみ西バイパス店」でしたが、同社は2001年に経営破綻。マエダは2003年6月に居抜きで出店し、その際に20年間の建物賃貸借契約を結んでいました。
2021年3月期での売上はテナントを含めたガーラモール全体で約40億円、スーパーのみで約20億円に上り、経営は順調でした。マエダ側は営業継続に向け再契約交渉を進めてきましたが、2022年11月2日の会見で「金銭面や設備面などで建物の管理会社と契約更新の合意に至らなかった」と発表しました。ガーラモールに出店するテナントも同時に営業を終了する予定となっています。
個人的な憶測ですが、亀屋みなみチェーン破綻に伴う空き店舗ということもあり、2003年当時の賃料が格安だったのではないでしょうか。再契約の条件として提示された賃料が著しく増加しており、マエダとしては契約を諦めざるを得ない水準だったと考えられます。一方で、同じく再契約の合意に至らずに閉店した青森コロナワールド跡地に出店する企業が現れないことから、家主が賃料を相場と比べ割高に設定している可能性もあります。
食料品売場は2000㎡超えで広々とした売場空間となっています。入口から青果、鮮魚、精肉、惣菜と続く一般的な配置。青果導入部では地元農家が生産した新鮮な野菜を非常に大きく展開しており、様々な品種のりんごや規格外の大きさの白菜や大根など、一般的なスーパーでは並ばない商品も含めて面白みのある商品が見られます。みかんやりんご、柿など季節の果物は量感ある陳列が行われていますが、高級な果物や珍しい野菜などは扱っていません。
鮮魚売場は青森県内の漁港で水揚げされた生いわしや生あじなど近海魚を販売しますが、多くの切身やお刺身はプロセスセンター加工を実施。お刺身はアイテム数も限られ、厨房が見えない構造という事もあり鮮度感の訴求はいまひとつに感じられます。精肉もプロセスセンター加工を実施。上質な青森県産黒毛和牛「倉石牛」や青森県産「下北鶏」など地元の銘柄肉を展開し、こだわり需要に対応します。味付け肉やホルモン、個食鍋は充実していますが、こういった郊外立地ではよく売れるはずのジャンボパック(大容量パック)はあまり販売されていません。
惣菜では「マザー・クック」というコーナーでベーカリー商品も販売しますが、製造者が「マエダ ベーカリープロセスセンター」となっており驚きました。商品自体はベーカリーで見られるようなアイテムが多いですが、製造日より2日から3日の期限があるのが特徴で、密閉された包装を実施しています。焼き立てであることが第一の価値であるベーカリーにおいて、プロセスセンター加工を実施してしまうというのは聞いたことがありません。「パン工場直送コーナー」などを設けるスーパーはあるものの、ベーカリー用の売場にあらかじめ包装されたパンを仕入れて陳列することは異例で、お客様本位でないと思いますが効率化を目指した結果なのでしょう。
その他惣菜売場では店内調理のお弁当や揚げ物など並びますが凝った商品はあまり見られません。1人前490円の握り寿司などお手頃な価格帯の商品は並んでいました。
加工食品は大手ナショナルブランドとCGC商品が中心ではあるものの、地場商品も含めてSKU数を増やしており、選択肢は十分確保されています。売場の一角では「コストコ・セール」と称してコストコで仕入れた商品をコーナー展開して売り込みますが、お客さんは疎ら。何故か食品だけでなく「くまのぬいぐるみ」も仕入れて販売していました。
食品レジはセミセルフレジ6台(2台稼働中)と完全セルフレジ6台を設置しますが、完全セルフレジは利用が浸透しておらず、有人レジにお客さんが並んでいる場面が多く見られました。客単価はそれなりに高いですが、競合カブセンター西青森店に客数は大きく差を付けられています。カブセンターはセミセルフレジ17台を配置しており、売上は郊外立地の食品スーパーとしては驚異的な30億円を超えると推定されます。マエダの年商は昨年度およそ19億7000万円(日本スーパー名鑑より)となっており、繁盛店であることに違いは無いのですが地域1番店ではありません。