ヨークベニマル富岡店
- 2023/03/16
- 19:52
福島県双葉郡富岡町。
JR常磐線の富岡駅から徒歩12分程度のところに、ヨークベニマル富岡店はあります。
店舗外観。
富岡町では2011年3月の東日本大震災に伴う福島第1原発事故で町内全域に避難指示が出ていましたが、2017年4月1日に解除されました。それに先駆けて、事故以来休業していた「ヨークベニマル富岡店」が、同じ場所で「ヨークベニマル新富岡店」と店名を変更して、2017年3月30日に営業を再開しました(2022年3月に店名は「富岡店」へ戻されています)。

入居する「さくらモールとみおか」

かつては建物すべてがヨークベニマルの売場でしたが、現在は3分割してヨークベニマル、ダイユーエイト、ツルハドラッグがテナントとして出店します。

ヨークベニマルの売場は一段高くなっており、スロープで繋がれています。
目の前には飲食店が出店するフードコートがあります。

青果売場。季節の果物や旬の野菜が量感をもって陳列されています。原発を挟んで北側の「イオン浪江店」と比べて本格的食品スーパーという印象。

キャベツも丸ごと1玉から1/2カット、1/4カットも取り扱います。

贈答用の果物やカットフルーツも販売。

時短・簡便需要に応える品揃えも拡充します。

地場野菜コーナーなどは設けていません。

青果に続いて精肉、鮮魚と配置。鮮魚や精肉も十分取り揃えますが、壁面のみという低収益店によくあるパターンとは逆に、平台ショーケースのみで販売するという珍しい手法を採用。

上質な霜降りの入った黒毛和牛のステーキ肉、焼き肉用肉を販売。アメリカ産アンガスビーフなども扱いますが、全体的に価格が割高に感じました。

少量・小分けパックの取り扱いには積極的。

鶏肉はアウトパックで供給し、環境に配慮したノントレーを推進します。

お刺身盛り合わせは580円、1000円、1580円とファミリー層向けの価格帯まで幅広く揃えます。

刺身以外の鮮魚も取り揃えます。

鮮魚おつまみを均一価格で訴求。

相双(そうそう)地域は、太平洋の沿岸部「浜通り」地方の「相馬地域」と「双葉地域」を指しており、地元商材も強化します。

ひなまつりの装飾にも力が入っています。

地元のお漬物も導入。

和日配コーナー。

牛乳コーナー。フェイスアップはきれいに出来ています。

惣菜売場。厨房の作業風景を見せることでライブ感を演出します。

店内調理のお弁当はかなり好調に売れていましたが、製造品目が少なく、機会ロスがあるように感じられました。

握り寿司は豊富に揃えています。

和惣菜はアウトパックで供給します。

餃子も店内加工しないなど、出来る限りアウトパックに頼ることでローコストオペレーションに取り組みます。

売場には一部吹き抜けがあり、光が差し込んでいます。

ドレッシングコーナー。

カップ麵はジャンブル陳列を採用し作業負担を軽減。

ペットボトル飲料コーナー。
きれいにフェイスアップされています。

酒売場が大きく取られています。

森伊蔵、魔王といった希少な高単価なアイテムも販売します。

エンドで福島の地酒を展開。

狭い売場ですが生活雑貨や肌着も取り扱います。

ヨークベニマル富岡店 店舗概要
開業: 2017年3月30日
売場面積: 1090㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間: 10:30〜19:00
住所: 福島県双葉郡富岡町中央三丁目53番地
駐車場: 334台(無料)
HP: https://yorkbenimaru.com/store/details/tomioka/
店内・売場の様子
時間帯: 12時頃
客数: やや多い
客層: 主婦、高齢者、作業員中心
買い物内容: 生鮮、惣菜中心にやや多め
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: 非常に良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(3台稼働中)
食品セミセルフレジ: 0台
食品完全セルフレジ: 4台
トイレ: 普通
休憩スペース: 売場目の前にフードコートあり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: セブンプレミアム
2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故以来休業していた「ヨークベニマル富岡店」が、同じ場所で「ヨークベニマル新富岡店」と店名を変更して、2017年3月30日に営業を再開しました(2022年3月に店名は「富岡店」へ戻されています)。旧ヨークベニマル富岡店の建物を富岡町が買い取り、商業施設「さくらモールとみおか」として整備し、3分割してヨークベニマル、ダイユーエイト、ツルハドラッグがテナントとして出店します。
富岡町では福島第1原発事故で町内全域に避難指示が出ていましたが、2017年4月1日に解除されました。しかし、富岡町の当面の帰還予定者は約500人。原発関連など復興事業に従事する作業員の利用も見込まれますが、年商目標は4億円に設定し、赤字を前提とした出店でした。ヨークベニマルの大高善興会長は「どうシュミレーションしても採算は合わないが、福島県の企業として地域に役立ちたい」と語ったそうです。(日本産業新聞社より)。ローコストオペレーション徹底のため、セルフレジを中心とした運用や、営業時間の短縮、チラシ販促の中止など取り組んでいます。当初使っている加工場は刺身と惣菜のみでしたが、将来住民が戻ってきた時、生鮮3品すべてで店内加工を行えるスペースも確保しており、2023年2月時点では鮮魚・精肉全般でも店内加工を実施していました。
生鮮3品が一通り揃っており、原発を挟んで北側の「イオン浪江店」と比べて本格的食品スーパーという印象を持ちます。各コーナーでは適量・少量サイズを積極的に取り扱い、簡便・即食商品なども販売しきめ細かな需要に対応します。一方でやはり自宅で調理を行う方の割合は低い模様で、加工食品では調味料の品揃えを絞り込む一方でペットボトル飲料や酒売場が大きく取られていました。鮮魚や精肉も十分取り揃えますが、壁面のみという低収益店によくあるパターンとは逆に、平台ショーケースのみで販売するという珍しい手法を採用。青果、精肉、鮮魚の順番で展開し、突き当りに和日配、冷凍食品コーナーを配置します。
訪れたのが昼時だったため、作業服を着た復興事業に従事する工事関係者の方で賑わっていました。お弁当やカップ麺とペットボトル飲料などを購入している印象。一方で地元住民と見られる客層が高齢者のみだった「イオン浪江店」と異なり、若い夫婦や小さい子供を連れた若いファミリー層の姿もあり、この地域の将来に希望が持てるようなお客さんがいたのは個人的に嬉しく思いました。家族連れや高齢者の中にはカゴ一杯に買い物する方もおり、平均客単価もそれなりの水準でした。富岡町の住居人口は2021年2月時点で1576人(富岡町公式サイトより)。現在はもう少し増加していると推測されますが、2023年4月には一部の帰還困難区域の避難指示が解除され、今後さらに住民の帰還が進むことが期待されます。直近では、当初見込んでいた年商4億円は大きく超えているのではないでしょうか。
JR常磐線の富岡駅から徒歩12分程度のところに、ヨークベニマル富岡店はあります。
店舗外観。
富岡町では2011年3月の東日本大震災に伴う福島第1原発事故で町内全域に避難指示が出ていましたが、2017年4月1日に解除されました。それに先駆けて、事故以来休業していた「ヨークベニマル富岡店」が、同じ場所で「ヨークベニマル新富岡店」と店名を変更して、2017年3月30日に営業を再開しました(2022年3月に店名は「富岡店」へ戻されています)。

入居する「さくらモールとみおか」

かつては建物すべてがヨークベニマルの売場でしたが、現在は3分割してヨークベニマル、ダイユーエイト、ツルハドラッグがテナントとして出店します。

ヨークベニマルの売場は一段高くなっており、スロープで繋がれています。
目の前には飲食店が出店するフードコートがあります。

青果売場。季節の果物や旬の野菜が量感をもって陳列されています。原発を挟んで北側の「イオン浪江店」と比べて本格的食品スーパーという印象。

キャベツも丸ごと1玉から1/2カット、1/4カットも取り扱います。

贈答用の果物やカットフルーツも販売。

時短・簡便需要に応える品揃えも拡充します。

地場野菜コーナーなどは設けていません。

青果に続いて精肉、鮮魚と配置。鮮魚や精肉も十分取り揃えますが、壁面のみという低収益店によくあるパターンとは逆に、平台ショーケースのみで販売するという珍しい手法を採用。

上質な霜降りの入った黒毛和牛のステーキ肉、焼き肉用肉を販売。アメリカ産アンガスビーフなども扱いますが、全体的に価格が割高に感じました。

少量・小分けパックの取り扱いには積極的。

鶏肉はアウトパックで供給し、環境に配慮したノントレーを推進します。

お刺身盛り合わせは580円、1000円、1580円とファミリー層向けの価格帯まで幅広く揃えます。

刺身以外の鮮魚も取り揃えます。

鮮魚おつまみを均一価格で訴求。

相双(そうそう)地域は、太平洋の沿岸部「浜通り」地方の「相馬地域」と「双葉地域」を指しており、地元商材も強化します。

ひなまつりの装飾にも力が入っています。

地元のお漬物も導入。

和日配コーナー。

牛乳コーナー。フェイスアップはきれいに出来ています。

惣菜売場。厨房の作業風景を見せることでライブ感を演出します。

店内調理のお弁当はかなり好調に売れていましたが、製造品目が少なく、機会ロスがあるように感じられました。

握り寿司は豊富に揃えています。

和惣菜はアウトパックで供給します。

餃子も店内加工しないなど、出来る限りアウトパックに頼ることでローコストオペレーションに取り組みます。

売場には一部吹き抜けがあり、光が差し込んでいます。

ドレッシングコーナー。

カップ麵はジャンブル陳列を採用し作業負担を軽減。

ペットボトル飲料コーナー。
きれいにフェイスアップされています。

酒売場が大きく取られています。

森伊蔵、魔王といった希少な高単価なアイテムも販売します。

エンドで福島の地酒を展開。

狭い売場ですが生活雑貨や肌着も取り扱います。

ヨークベニマル富岡店 店舗概要
開業: 2017年3月30日
売場面積: 1090㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間: 10:30〜19:00
住所: 福島県双葉郡富岡町中央三丁目53番地
駐車場: 334台(無料)
HP: https://yorkbenimaru.com/store/details/tomioka/
店内・売場の様子
時間帯: 12時頃
客数: やや多い
客層: 主婦、高齢者、作業員中心
買い物内容: 生鮮、惣菜中心にやや多め
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: 非常に良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(3台稼働中)
食品セミセルフレジ: 0台
食品完全セルフレジ: 4台
トイレ: 普通
休憩スペース: 売場目の前にフードコートあり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: セブンプレミアム
2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故以来休業していた「ヨークベニマル富岡店」が、同じ場所で「ヨークベニマル新富岡店」と店名を変更して、2017年3月30日に営業を再開しました(2022年3月に店名は「富岡店」へ戻されています)。旧ヨークベニマル富岡店の建物を富岡町が買い取り、商業施設「さくらモールとみおか」として整備し、3分割してヨークベニマル、ダイユーエイト、ツルハドラッグがテナントとして出店します。
富岡町では福島第1原発事故で町内全域に避難指示が出ていましたが、2017年4月1日に解除されました。しかし、富岡町の当面の帰還予定者は約500人。原発関連など復興事業に従事する作業員の利用も見込まれますが、年商目標は4億円に設定し、赤字を前提とした出店でした。ヨークベニマルの大高善興会長は「どうシュミレーションしても採算は合わないが、福島県の企業として地域に役立ちたい」と語ったそうです。(日本産業新聞社より)。ローコストオペレーション徹底のため、セルフレジを中心とした運用や、営業時間の短縮、チラシ販促の中止など取り組んでいます。当初使っている加工場は刺身と惣菜のみでしたが、将来住民が戻ってきた時、生鮮3品すべてで店内加工を行えるスペースも確保しており、2023年2月時点では鮮魚・精肉全般でも店内加工を実施していました。
生鮮3品が一通り揃っており、原発を挟んで北側の「イオン浪江店」と比べて本格的食品スーパーという印象を持ちます。各コーナーでは適量・少量サイズを積極的に取り扱い、簡便・即食商品なども販売しきめ細かな需要に対応します。一方でやはり自宅で調理を行う方の割合は低い模様で、加工食品では調味料の品揃えを絞り込む一方でペットボトル飲料や酒売場が大きく取られていました。鮮魚や精肉も十分取り揃えますが、壁面のみという低収益店によくあるパターンとは逆に、平台ショーケースのみで販売するという珍しい手法を採用。青果、精肉、鮮魚の順番で展開し、突き当りに和日配、冷凍食品コーナーを配置します。
訪れたのが昼時だったため、作業服を着た復興事業に従事する工事関係者の方で賑わっていました。お弁当やカップ麺とペットボトル飲料などを購入している印象。一方で地元住民と見られる客層が高齢者のみだった「イオン浪江店」と異なり、若い夫婦や小さい子供を連れた若いファミリー層の姿もあり、この地域の将来に希望が持てるようなお客さんがいたのは個人的に嬉しく思いました。家族連れや高齢者の中にはカゴ一杯に買い物する方もおり、平均客単価もそれなりの水準でした。富岡町の住居人口は2021年2月時点で1576人(富岡町公式サイトより)。現在はもう少し増加していると推測されますが、2023年4月には一部の帰還困難区域の避難指示が解除され、今後さらに住民の帰還が進むことが期待されます。直近では、当初見込んでいた年商4億円は大きく超えているのではないでしょうか。