埼玉県さいたま市岩槻区。
東武伊勢崎線武里駅から徒歩27分程度のところに、スーパーバリュー卸売パワーセンター岩槻店はあります。
店舗外観。
2017年8月20日をもって閉店したアピタ岩槻店の跡地に、同年10月19日オープンしました。

心なしか黄色い三角がアピタを感じさせます。

店舗が面している幹線道路の向かい側の景色。商圏1km半径に約1000世帯・3300人しか住んでいません。

フロアガイド。アピタ時代は3フロアで営業していましたが、現在3階は倉庫として活用されています。

3階へのエスカレーターは封鎖されています。

エレベーター付近の意匠などもアピタ時代のままだと思われます。

「食品のフロアー」という案内もアピタ時代から使用しています。

まずは1階食料品売場から見ていきます。
青果売場。売場自体がかなり窮屈なため、アイテム数を絞り込んでいます。

入口すぐでは巨大なスイカを販売。1玉9800円の品物も並びます。

カットフルーツやカット野菜も陳列量が少なめ。

根菜類などはボリューム感を持たせて陳列します。
青果に続いて鮮魚、精肉と配置。

鮮魚や精肉売場の壁面の向こう側には大きなバックヤードがあり、アピタ時代にはより奥側に鮮魚・精肉売場があったと思われますが、現在は簡素な見た目となっています。鮮魚は調理場が見えない状況で、調理サービスも承っていません。

魚料理の写真を大量に貼り出して活気を演出。

お造りは500円の3点盛り1種類のみ販売。

いか明太、中華くらげ、数の子わさびなど店内で調理した珍味は充実。

丸々一尾の鮮魚もわずかですが取り扱います。

うなぎコーナー。

精肉売場。

霜降りの入った上質な群馬県産上州牛をステーキ用、すき焼き用、焼き肉用と展開。価格も100gおよそ555円とお手頃です。

豚肉、鶏肉はジャンボパックを中心に訴求。

国産鶏もも肉の価格はやや高く感じました。

冷凍肉では豚骨や鶏ガラ、豚足、豚皮、豚焼耳、鶏もみじといった飲食店向けの部位も販売しています。

惣菜売場が生鮮3品とは反対側の壁面に配置されているため、先に中間にある和洋日配コーナーを見ていきます。

焼きそば、たくあん、紅しょうがなどは業務用サイズも取り扱います。

納豆は段ボールのまま陳列し作業効率を向上。

牛乳も運搬用ケースごと陳列します。

冷凍食品コーナー。
訪れた日は表示価格から30%引きセールが開催されており、非常にお買い得となっていました。
味の素ギョーザは表示価格178円(税抜き)なので、124円という類を見ない低価格となります。
天井との隙間に挟まっている買い物かごは何の目的があるのでしょうか。

飲食店向けの業務用冷凍食品も品揃えします。

他社ではあまり見られない商品も販売。

製パンメーカーの会社名を並べたパン売場。

生鮮3品とは離れた場所にある惣菜売場。

天井から吊られたPOPが賑やかですね。

お弁当は398円前後が中心ですが、1500円のうな重など高級品も販売。

スーパーバリュー名物の「北海ど~ん」

1人前398円の握り寿司など低価格品を強化。

価格と客層は比例すると言われますが、低価格路線であるスーパーバリューも例外ではないようで、値引きに関してルールが定められていました。カゴに商品を取っておいて、値下げのタイミングでこれも貼ってくれという方が多かったようです。

惣菜売場に並んでベーカリー売場の跡地があり、均一菓子を展開。

当面の間休止すると案内されていましたが、採算が採れなかったのでしょうか。設備があるのにもったいないですね。

加工食品売場。ボリューム感あるカットケース陳列が目立ちます。

空箱で高さを出しています。

マヨネーズコーナー。プライベートブランド「SVセレクト」で安さを訴求します。

ドレッシングコーナー。
大手ナショナルブランドが中心で、高級品やこだわりの品は扱いません。

PB未導入のカテゴリーでも中小メーカーの低価格品を仕入れており、全体的な割安感はアピール出来ています。

業務用サイズの調味料はコーナー展開。

袋菓子コーナー。1個よりも2個、3個購入で単価が安くなります。

アイテムが絞り込まれており間延びした印象ですが、所々欠品も見られました。

駄菓子はケース単位での販売も実施。

飲料でもケースでの販売に注力します。

酒コーナーはメーカーの営業さんが売場づくりを頑張っていました。

自転車も販売。
特徴的な入口の黄色い格子はアピタを受け継いでいます。

日用消耗品コーナー。

2階は家具・インテリア、家電とファッション専門店サンキのフロア。
特に家具・インテリアは充実の品揃え。

ベッド、マットレスも高級品まで揃えています。

テレビや白物家電も一通り扱います。

2階でも自転車を販売。

オープンの翌年、従来直営だった2階フロアの半分をサンキへ賃借しています。
スーパーバリュー卸売パワーセンター岩槻店 店舗概要開業: 2017年10月19日
売場面積: 4628㎡
営業時間:
1階 10:00~20:00
2階 10:00~19:00
住所: 埼玉県さいたま市岩槻区大口800
駐車場: 1027台
HP:
https://www.supervalue.jp/shop/detail/34店内・売場の様子時間帯: 15時頃
客数: やや少ない
客層: 主婦、高齢者中心
買い物内容: 生鮮、加工食品中心にやや多め
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: 悪い
クリンリネス: やや良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 無し
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品レジ: セミセルフレジ6台(3台稼働中)、精算機9台
完全セルフレジ: 無し
トイレ: 普通
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: SVセレクト
2000年9月に開業し、2017年8月20日をもって閉店したアピタ岩槻店。ユニーから建物を無償で譲り受け、同年10月19日には跡地にスーパーバリュー卸売パワーセンター岩槻店がオープンしました。スーパーバリューでは新業態開発の拠点となる物件を計画していましたが、立地条件が適しており、既存店舗(600メートル先に同社の春日部大場店)の近隣にも位置していることなどから贈与による取得を決めました。ユニーが何故無償にて贈与したかは不明ですが、スーパーバリュー側は特別利益として固定資産受贈益4億2372万円を計上しています。
アピタ時代は3フロアで営業しており売場面積は13955平米規模でしたが、商圏人口が少ない立地でもあり、スーパーバリューでは当初より3階は倉庫として活用しています。また、2階は当初直営でホームセンターとして営業していましたが、2018年6月6日にはおよそ半分のスペースをファッション専門店のサンキへ転換。直営面積は7260平米から4628平米へ減少しています。
スーパーバリュー開業当初の目標月商は5億円。年商に直すと60億円という壮大な目標を掲げていました。アピタ時代の売上高を参考に目標を立てたのでしょうが、大手企業が失敗した立地を中小企業が譲り受け、なおかつ売場も縮小して営業している事を認識していたのでしょうか。駐車場は確かに1027台という規模で広域から集客が可能ですが、店舗周辺には田んぼが広がっており、商圏1km半径に1000世帯・3300人しか住んでいません。
開業後は売上が目標を下回った模様で、直営売場は縮小へ動きました。開業時に導入したセミセルフレジは、従業員が運用する商品登録レジ12台、お客さんが利用する会計レジ18台を当初設置していましたが、現在は半分の台数となっています。当時の売場写真を見ると、菓子や加工食品で段ボールそのままのケース販売も積極的に行っていたようですが、現在ではほぼ行われていません。
流通ニュースの店舗紹介記事では「バラ売り、2個セットや4個・5個セット、ケース売りを用意。販売単位が上がることに1個当たりの商品単価が安くなる一物三価の価格設定を採用した。」とありますが、現在では菓子の一部商品が2個購入で安くなる程度で、ほとんど実践されていません。業務用冷凍食品の品揃えは豊富ですが、それ以外は通常のスーパーバリューと変わらない売場に感じました。
売場は青果、鮮魚、精肉と続き、冷凍食品や和洋日配を挟んで惣菜売場を配置。青果売場は巨大なスイカを先頭に配置。売場自体がかなり窮屈なため、アイテム数を絞り込んでおり高級な果物や珍しい野菜、少量パックなどは扱いません。売上が芳しくないのか、最も売れる野菜であるトマトですら陳列量が少なめ。一方で生産者の顔写真が貼られた産地直送野菜「JA土浦うまかっぺ市場」コーナーを導入し、鮮度の高さを訴求。
鮮魚や精肉売場の壁面の向こう側には大きなバックヤードがあり、アピタ時代には多少なりとも凝った意匠の鮮魚・精肉売場があったと思われますが、現在は簡素な売場となっています。鮮魚は調理場が見えない状況で、調理サービスも承っていません。丸々一尾の鮮魚はそれなりに扱いますが、お刺身は3点盛り500円の1種類のみ販売されており、品揃えの幅は広くありません。一方でいか明太、数の子わさびといった珍味は充実しており、からすみなどの高級品、沖縄県産の海ぶどうといった珍しい品は扱っています。
精肉では霜降りの入った上質な群馬県産上州牛を100gおよそ555円という価格で販売。ステーキ用、すき焼き用、焼き肉用と種類も豊富に揃えています。一方で主力に据えるのはジャンボパックで、平台ショーケースに大量陳列。国産鶏もも肉が100g123円、ジャンボパックでも118円というのはやや高く感じます。冷凍肉の取り扱いも多く、牛タン、サイコロステーキ、スペイン産豚バラ肉などに加え、豚骨や鶏ガラ、豚足、豚皮、豚焼耳、鶏もみじといった飲食店向けの部位も販売しています。
惣菜売場は弁当や揚げ物など定番品に絞り込まれています。大容量パックも見られず、インパクトある商品が少ない中で、スーパーバリュー名物の「北海どーん」(370円)が目立っていました。ベーカリーコーナーが設置されていますが、現在営業を休止しており、均一菓子が並んでいます。
冷凍食品はメーカー希望小売価格からではなく、店頭価格より3割引きとなる販促を実施しており、味の素冷凍ギョーザが124円など圧倒的な低価格で提供します。業務用冷凍食品も販売。和洋日配では運搬用ケースや段ボールを活用した陳列が目立ち、作業の効率化に取り組んでいます。プライベートブランド「SVセレクト」も一部で導入し、安さを重視した品揃え。
加工食品は売場面積の割にアイテムを絞り込んでいるため間延びした印象。菓子では3尺1段に1つのアイテムが5フェイスで並んでいるといった状況も散見されました。アイテム数が少ない割に欠品が多く、フェイスアップも十分ではありません。賞味期限の管理のために売場に付箋を貼るのも止めた方が良いでしょう。低価格なPB「SVセレクト」は一部カテゴリーのみ導入されていますが、未導入のカテゴリーでも中小メーカーの低価格品を仕入れており、全体的な割安感はアピール出来ています。
2階の直営売場はサンキを導入した際に日用品、家庭用品、ペット用品、自転車売場を縮小して1階に移転したため、現在は家具、インテリア、家電が中心となっています。2階を訪れるお客さんのほとんどがサンキの利用者で、直営売場は閑散としており、厳しい経営状況に見受けられます。縮小すべきなのは家具・インテリアの方で、日用品やペット用品は品揃えの幅を持たせても良かったのではないでしょうか。
訪れたのが平日の16時頃ということもあり客層は主婦や高齢者が中心。車での来店比率が非常に高いため客単価も高く、カゴ一杯に商品を購入されていました。一方で飲食店関係者など、卸売業態がターゲットとする本来の客層はほぼ見られませんでした。レジは3台稼働で混雑することも無く会計出来ています。600メートル先には食品スーパー業態の「スーパーバリュー春日部大場店」が立地しており、自社競合となっていますが、同時間帯の春日部大場店もある程度賑わっていました。品揃えも客層も似たり寄ったりで、棲み分けが図れているとは言い難いですが、付近に競合が少ないため、岩槻駅方面のお客さんは卸売パワーセンター、武里駅方面のお客さんは春日部大場店を利用されているのではないでしょうか。