さくら野百貨店青森本店
- 2022/11/24
- 11:55
青森県青森市。
JR青森駅から徒歩7分程度のところに、さくら野百貨店青森本店はあります。
1951年に「カネ長武田百貨店青森店」として開業した店舗です。1978年には大手スーパー「ニチイ」(のちのマイカル)の支援により丸光(宮城)・山田百貨店(福島)・イチムラ(新潟)・小美屋(神奈川)と共に株式会社百貨店連合を設立。店名をダックシティ、ビブレと変え営業を続けてきましたが、2000年に親会社のマイカルが経営破綻。青森店の建物の貸主である武田株式会社などが出資し事業再生を目指すこととなり、2002年には公募により選ばれた「さくら野百貨店」へ社名・店名を変更し、新しいスタートを切りました。現在青森、弘前、八戸、北上に展開する株式会社さくら野百貨店の本社は青森本店に置かれています。
店舗外観

正面入口が北向きのため、晴れていてもあまり良い写真が撮れませんでした。

縦看板には「カネ長武田」のロゴマークも見られます。

店舗裏手の搬入口。隣接して駐車場を備えています。

屋上広告塔。

駐車場との連絡橋。

店舗側面。

正面入口。

さくら野のプレートと大規模小売店舗表示板。

フロアガイド。地下1階から地上6階までの7フロアで営業しています。売場面積は16491㎡。

各階同じような売場形状ですが、2つの建物を繋げたようになっています。増床を繰り返した名残でしょうか。エスカレーターは1カ所のみです。

昭和の百貨店、スーパーでよく見られるシンメトリーな階段。

7階・屋上への階段は塞がれていました。

こちらの階段の先は事務所として活用されているようです。

まずは地下1階食料品フロアから見ていきます。地下への階段。

エスカレーター降りてすぐ青果売場を配置。青果は九州屋が担当しています。

季節の果物や新鮮な野菜が並びます。

鮮魚は仙令平庄が担当。鮮度感のある海鮮物が種類豊富に揃います。

精肉は直営で展開しますが、対面量り売りコーナーも導入しており、高級志向な商品も販売します。

加工食品売場。
配管が剝き出しで天井も低く、高級感ある買い物空間とは言えません。

銘品百撰というこだわりの菓子コーナーを展開。

加工食品では成城石井の商品も取り扱いを行います。

食料品フロアには集中レジが7台設置されており、デパ地下としては多い部類に入ります。

和洋菓子などブランドの銘品コーナーは導入しますが、デパ地下としては定番のサラダ・惣菜量り売りコーナーや弁当専門店は出店しておらず、通常のスーパーマーケットに近い業態となっています。写真にはありませんがベーカリーはホルンが出店しています。

1階は化粧品や服飾雑貨のフロア。こちらは上質感ある雰囲気です。

服飾雑貨コーナー。

2階は婦人服フロア。



3階も婦人服フロア。建物の古さを感じさせない洗練された雰囲気です。



3階に喫茶室を配置。

4階は紳士服フロア。


4階には100円ショップのセリアも入居しています。

5階は一部婦人服と子供服、着物のフロア。



ランドセルの展示販売会も行われていました。

6階は住まいの品、催事場、レストランのフロア。

催事場は準備中でしたが、お歳暮ギフトセンターの開設に向け作業が進んでいました。

生活用品のコーナー。

ファミリーレストラン「アメーノ」。

実際に利用してみましたが、お客さんの姿は疎らで、座席も本来のスペースよりも縮小されていました。

窓際の席からの見晴らしは良かったです。

さくら野百貨店青森本店 店舗概要
開業: 1951年6月6日
売場面積: 16491㎡(日経MJより)
営業時間: 午前10時~午後6時30分
住所: 青森県青森市新町1-13-2
駐車場: あり(1,000円以上お買上のお客様=1時間無料・2,000円以上お買上のお客様=2時間無料・5,000円以上お買上のお客様=3時間無料・20,000円以上お買上のお客様=5時間無料)
HP: https://sakurano-dept.jp/aomori/
1951年に「カネ長武田百貨店青森店」として開業した店舗です。1977年までに増床を繰り返し、現在の外観となりました。1978年には大手スーパー「ニチイ」(のちのマイカル)の支援により丸光(宮城)・山田百貨店(福島)・イチムラ(新潟)・小美屋(神奈川)と共に株式会社百貨店連合を設立。1982年には各社が百貨店連合の傘下に入り、経営が引き継がれました。1985年に社名を「ダックシティ」へ変更し、店名も変更されますが、その後ニチイが展開していたファッションビル「ビブレ」へと再度転換され、1998年には社名を「ダックビブレ」へ変更。2000年に親会社のマイカルが経営破綻したことに伴い、民事再生法の適用を申請しますが、青森店の建物の貸主である武田株式会社などが出資し事業再生を目指すこととなり、マイカルグループを離脱しています。2002年には公募により選ばれた「さくら野百貨店」へ社名・店名を変更し、新しいスタートを切りました。
2005年には仙台店を運営する株式会社さくら野百貨店(2010年にエマルシェへ社名変更)、仙台店の資産管理をするさくら野DEPT仙台、仙台以外の東北の店舗を運営するさくら野東北株式会社(2010年に株式会社さくら野百貨店の社名を引き継ぐ)の3社へ会社分割を実施。2017年2月27日にはエマルシェが運営するさくら野百貨店仙台店が資金繰り悪化のため突然営業を停止し、破産を申請。一方で青森、弘前、八戸、北上を運営するさくら野百貨店は営業を継続しています。
経営を見ると、百貨店業界の衰退に加え地方百貨店の寄せ集めということもあり厳しい状況が続いています。エマルシェは31億円の負債を抱えて破産し、さくら野東北から改称したさくら野百貨店も2009年2月期より債務超過に陥り、2012年には主要株主の武田が15億~20億円程度の債権放棄に応じています。その後4店舗全てで改装を実施し、収益性の改善に取り組みましたが、直近では消費税増税や新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり業績が悪化。
2020年2月期は売上高182億3000万円に対して最終赤字3億3300万円を計上し、翌年も5億9300万円の赤字、2022年2月期も3億6600万円の赤字となり、純資産はわずか3500万円、自己資本比率0.9%という危機的状況で、今期には再び債務超過に転落する可能性が大きくなっています。一方で親会社の不動産会社、武田は2021年8月期で純資産68億円を有しており、2012年のようにさくら野百貨店を支援する余裕があります。もし経営破綻し全店閉店となれば、青森県から百貨店が消滅する(弘前の中三は百貨店協会に非加盟)事態となるため、存続へ向けて支援に乗り出すのではないでしょうか。
さくら野百貨店青森本店の売上高は以下の通りとなっています。(日経MJより)
2015年度 57億3100万円
2016年度 54億4500万円
2017年度 53億3400万円
2018年度 52億1300万円
2019年度 58億400万円
2020年度 46億5500万円
2021年度 45億5900万円
2019年4月30日に競合であった「中三青森本店」(百貨店協会には非加盟)が再開発のため営業を終了しており、残存者利益を享受して前年比11.3%増と売上を伸ばしましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で翌年は19.8%減と大きく落ち込みました。都市部のほとんどの百貨店が昨年度は増収を記録する中、さくら野百貨店青森本店は引き続き減収となり、厳しい戦いを強いられています。
平日に訪れましたが、地下食料品フロアは夕方にかけて賑わっていたものの、上層階は閑散としていました。催事場がお歳暮の準備中で集客していないタイミングというものあると思われます。4階に導入した100円ショップのセリアにはお客さんの姿も見られました。食料品フロアは一般的なスーパーと同じように集中レジが7台並んでおり、生鮮品が揃う小売店が中心市街地では貴重なこともあって盛況となっていました。火曜市というセールを開催しており、2000円以上の購入で次週火曜日に使える「かって値シール」が5枚貰え、次週好きな商品を10%割引きで購入する事が出来ます。
2023年には中三跡地の再開発ビルが完成する予定で、本館の商業区画の詳細は決まっていないものの駐車場棟1階にはスーパーマーケットの出店計画があり、競争の激化が予測されます。一方で2024年にはJR青森駅駅舎が建て替えられ、商業施設やホテルも入る新たな駅ビルの完成も予定されており、魅力的な商業施設が集積することで中心市街地の賑わいが取り戻されることも期待されます。
JR青森駅から徒歩7分程度のところに、さくら野百貨店青森本店はあります。
1951年に「カネ長武田百貨店青森店」として開業した店舗です。1978年には大手スーパー「ニチイ」(のちのマイカル)の支援により丸光(宮城)・山田百貨店(福島)・イチムラ(新潟)・小美屋(神奈川)と共に株式会社百貨店連合を設立。店名をダックシティ、ビブレと変え営業を続けてきましたが、2000年に親会社のマイカルが経営破綻。青森店の建物の貸主である武田株式会社などが出資し事業再生を目指すこととなり、2002年には公募により選ばれた「さくら野百貨店」へ社名・店名を変更し、新しいスタートを切りました。現在青森、弘前、八戸、北上に展開する株式会社さくら野百貨店の本社は青森本店に置かれています。
店舗外観

正面入口が北向きのため、晴れていてもあまり良い写真が撮れませんでした。

縦看板には「カネ長武田」のロゴマークも見られます。

店舗裏手の搬入口。隣接して駐車場を備えています。

屋上広告塔。

駐車場との連絡橋。

店舗側面。

正面入口。

さくら野のプレートと大規模小売店舗表示板。

フロアガイド。地下1階から地上6階までの7フロアで営業しています。売場面積は16491㎡。

各階同じような売場形状ですが、2つの建物を繋げたようになっています。増床を繰り返した名残でしょうか。エスカレーターは1カ所のみです。

昭和の百貨店、スーパーでよく見られるシンメトリーな階段。

7階・屋上への階段は塞がれていました。

こちらの階段の先は事務所として活用されているようです。

まずは地下1階食料品フロアから見ていきます。地下への階段。

エスカレーター降りてすぐ青果売場を配置。青果は九州屋が担当しています。

季節の果物や新鮮な野菜が並びます。

鮮魚は仙令平庄が担当。鮮度感のある海鮮物が種類豊富に揃います。

精肉は直営で展開しますが、対面量り売りコーナーも導入しており、高級志向な商品も販売します。

加工食品売場。
配管が剝き出しで天井も低く、高級感ある買い物空間とは言えません。

銘品百撰というこだわりの菓子コーナーを展開。

加工食品では成城石井の商品も取り扱いを行います。

食料品フロアには集中レジが7台設置されており、デパ地下としては多い部類に入ります。

和洋菓子などブランドの銘品コーナーは導入しますが、デパ地下としては定番のサラダ・惣菜量り売りコーナーや弁当専門店は出店しておらず、通常のスーパーマーケットに近い業態となっています。写真にはありませんがベーカリーはホルンが出店しています。

1階は化粧品や服飾雑貨のフロア。こちらは上質感ある雰囲気です。

服飾雑貨コーナー。

2階は婦人服フロア。



3階も婦人服フロア。建物の古さを感じさせない洗練された雰囲気です。



3階に喫茶室を配置。

4階は紳士服フロア。


4階には100円ショップのセリアも入居しています。

5階は一部婦人服と子供服、着物のフロア。



ランドセルの展示販売会も行われていました。

6階は住まいの品、催事場、レストランのフロア。

催事場は準備中でしたが、お歳暮ギフトセンターの開設に向け作業が進んでいました。

生活用品のコーナー。

ファミリーレストラン「アメーノ」。

実際に利用してみましたが、お客さんの姿は疎らで、座席も本来のスペースよりも縮小されていました。

窓際の席からの見晴らしは良かったです。

さくら野百貨店青森本店 店舗概要
開業: 1951年6月6日
売場面積: 16491㎡(日経MJより)
営業時間: 午前10時~午後6時30分
住所: 青森県青森市新町1-13-2
駐車場: あり(1,000円以上お買上のお客様=1時間無料・2,000円以上お買上のお客様=2時間無料・5,000円以上お買上のお客様=3時間無料・20,000円以上お買上のお客様=5時間無料)
HP: https://sakurano-dept.jp/aomori/
1951年に「カネ長武田百貨店青森店」として開業した店舗です。1977年までに増床を繰り返し、現在の外観となりました。1978年には大手スーパー「ニチイ」(のちのマイカル)の支援により丸光(宮城)・山田百貨店(福島)・イチムラ(新潟)・小美屋(神奈川)と共に株式会社百貨店連合を設立。1982年には各社が百貨店連合の傘下に入り、経営が引き継がれました。1985年に社名を「ダックシティ」へ変更し、店名も変更されますが、その後ニチイが展開していたファッションビル「ビブレ」へと再度転換され、1998年には社名を「ダックビブレ」へ変更。2000年に親会社のマイカルが経営破綻したことに伴い、民事再生法の適用を申請しますが、青森店の建物の貸主である武田株式会社などが出資し事業再生を目指すこととなり、マイカルグループを離脱しています。2002年には公募により選ばれた「さくら野百貨店」へ社名・店名を変更し、新しいスタートを切りました。
2005年には仙台店を運営する株式会社さくら野百貨店(2010年にエマルシェへ社名変更)、仙台店の資産管理をするさくら野DEPT仙台、仙台以外の東北の店舗を運営するさくら野東北株式会社(2010年に株式会社さくら野百貨店の社名を引き継ぐ)の3社へ会社分割を実施。2017年2月27日にはエマルシェが運営するさくら野百貨店仙台店が資金繰り悪化のため突然営業を停止し、破産を申請。一方で青森、弘前、八戸、北上を運営するさくら野百貨店は営業を継続しています。
経営を見ると、百貨店業界の衰退に加え地方百貨店の寄せ集めということもあり厳しい状況が続いています。エマルシェは31億円の負債を抱えて破産し、さくら野東北から改称したさくら野百貨店も2009年2月期より債務超過に陥り、2012年には主要株主の武田が15億~20億円程度の債権放棄に応じています。その後4店舗全てで改装を実施し、収益性の改善に取り組みましたが、直近では消費税増税や新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり業績が悪化。
2020年2月期は売上高182億3000万円に対して最終赤字3億3300万円を計上し、翌年も5億9300万円の赤字、2022年2月期も3億6600万円の赤字となり、純資産はわずか3500万円、自己資本比率0.9%という危機的状況で、今期には再び債務超過に転落する可能性が大きくなっています。一方で親会社の不動産会社、武田は2021年8月期で純資産68億円を有しており、2012年のようにさくら野百貨店を支援する余裕があります。もし経営破綻し全店閉店となれば、青森県から百貨店が消滅する(弘前の中三は百貨店協会に非加盟)事態となるため、存続へ向けて支援に乗り出すのではないでしょうか。
さくら野百貨店青森本店の売上高は以下の通りとなっています。(日経MJより)
2015年度 57億3100万円
2016年度 54億4500万円
2017年度 53億3400万円
2018年度 52億1300万円
2019年度 58億400万円
2020年度 46億5500万円
2021年度 45億5900万円
2019年4月30日に競合であった「中三青森本店」(百貨店協会には非加盟)が再開発のため営業を終了しており、残存者利益を享受して前年比11.3%増と売上を伸ばしましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で翌年は19.8%減と大きく落ち込みました。都市部のほとんどの百貨店が昨年度は増収を記録する中、さくら野百貨店青森本店は引き続き減収となり、厳しい戦いを強いられています。
平日に訪れましたが、地下食料品フロアは夕方にかけて賑わっていたものの、上層階は閑散としていました。催事場がお歳暮の準備中で集客していないタイミングというものあると思われます。4階に導入した100円ショップのセリアにはお客さんの姿も見られました。食料品フロアは一般的なスーパーと同じように集中レジが7台並んでおり、生鮮品が揃う小売店が中心市街地では貴重なこともあって盛況となっていました。火曜市というセールを開催しており、2000円以上の購入で次週火曜日に使える「かって値シール」が5枚貰え、次週好きな商品を10%割引きで購入する事が出来ます。
2023年には中三跡地の再開発ビルが完成する予定で、本館の商業区画の詳細は決まっていないものの駐車場棟1階にはスーパーマーケットの出店計画があり、競争の激化が予測されます。一方で2024年にはJR青森駅駅舎が建て替えられ、商業施設やホテルも入る新たな駅ビルの完成も予定されており、魅力的な商業施設が集積することで中心市街地の賑わいが取り戻されることも期待されます。