イオン浪江店
- 2023/03/16
- 16:48
福島県双葉郡浪江町。
JR常磐線浪江駅から徒歩12分程度のところに、イオン浪江店はあります。
店舗外観。
2011年3月から休業・閉店していた衣料品店「フレンドショップかねこ」の跡地に2019年7月14日、浪江町唯一のスーパーとしてオープン。東京電力福島第一原発から北に約8キロの場所です。

逆光ですが別角度から。
2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故のため、浪江町に住む21000人の町民は全国に散り散りになりました。町内全域に避難指示が出されていた浪江町ですが、2017年3月末には一部地域で避難指示が解除され、居住が可能となりました。イオンが出店した時点で町内の人口は約1000人(日本経済新聞より)でしたが、2023年3月現在は約1900人(浪江町公式ホームページより)にまで増加しています。

売場面積は881平米と「イオン」を名乗る店舗としては小型です。
入口から青果、惣菜を同時に展開。

導入部で販売する「NAMIE WATER」。

鮮魚売場は店の奥にありますが、入口で丸魚を並べることで鮮度感を訴求。

青果売場。取り扱いアイテムは絞り込まれており、イオンが積極的に扱うオーガニック野菜などは見られませんでした。

午前10時の時点で、売場に並んでいる丸ごとのキャベツは1玉のみという陳列量の少なさ。

浪江町で収穫された長ネギなどが並ぶ地場野菜コーナー。

簡便・即食の需要は大きいようで、カット野菜などは充実しています。

青果売場別角度から。

惣菜売場。

店内調理の弁当も種類豊富に販売。
午前10時の時点で十分な数量が並んでいます。

グリル料理や鉄板焼き料理も販売。

「リワードキッチン」ブランドの惣菜も取り扱います。

鮮魚部門でも即食需要に応える刺身と寿司は惣菜売場に隣接して販売。
「魚屋の鮨」は1人前980円など素材にこだわった商品も並びます。

お刺身は盛り合わせではなく単品お造りが中心。

鮮魚、精肉売場。
奥の精肉のボードの下には納豆など和日配が並んでおり、鮮魚、精肉は当初より縮小された様子。
浪江町に居住している地域住民よりも、原発関連の復興事業に従事する独身の作業員の方が客数としては多いと想定され、調理が必要な食材は販売が芳しくないようです。

精肉は全てアウトパックで供給します。
牛肉が少なく、豚肉や鶏肉に偏った品揃え。

和日配コーナー。

和洋日配はまとめて配置。

加工食品売場。

加工食品はそれほどアイテムが絞り込まれている印象はありません。

酒売場では浪江町の酒蔵「鈴木酒造店」の商品をエンドで訴求します。

周辺にはドラッグストアや衣料品店、100円ショップなども存在しないため、日用消耗品に加え医薬品や生活雑貨、肌着なども取り扱っています。




イートインコーナーを導入。

片付けられている什器等を見ると、週末限定でベーカリー商品を販売している模様。

「にぎわいあふれる浪江町の未来」
より多くの住民がこの地に戻ってくることを期待したいですね。

イオン浪江店 店舗概要
開業: 2019年7月14日
売場面積: 881㎡(公式リリースより)
営業時間: 【月~土(祝日を除く)】6:00~20:00【日・祝】9:00~20:00
住所: 福島県双葉郡浪江町大字幾世橋字大添60-1
駐車場: 50台(無料)
HP: https://aeontohoku.co.jp/stores/namie
店内・売場の様子
時間帯: 10時頃
客数: やや少ない
客層: 高齢者、作業員中心
買い物内容: 惣菜、加工食品、日用品中心にやや少なめ
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: ロジスティクス・ネットワーク
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(2台稼働中)
食品セミセルフレジ: 0台
食品完全セルフレジ: 0台
トイレ: 普通
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: トップバリュ
2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故のため、浪江町に住む21000人の町民は全国に散り散りになりました。町内全域に避難指示が出されていた浪江町ですが、2017年3月末には一部地域で避難指示が解除され、居住が可能となりました。
イオンは浪江町からの要請を受け「当店は町に戻り生活を再開された方々や、帰還を願いながらも町を離れて生活を続ける方々が、ふるさと浪江町で震災前の生活を取り戻すことを願い、日々の暮らしに必要な食料品や日用品、医薬品を取り揃えます。」として、地域貢献のため出店を決めました。町にはコンビニなどはありましたが生鮮食料品を扱うスーパーがなく、生活インフラが整わないことが帰還をためらう理由になっていました。
イオンが出店した2019年7月時点で、町内の人口は約1000人。とてもスーパーマーケットが成り立つ商圏人口ではありませんが、原子力発電所関連での復興事業に従事する作業員が大勢単身で暮らしており、コンビニエンスストアでは不十分なニーズが存在していました。イオンが出店したのは2011年3月から休業・閉店していた衣料品店「フレンドショップかねこ」の跡地です。売場面積はイートインコーナーを含まずに881平米と小規模ですが、店頭のタブレット端末を利用することで、店舗に無い寝具や収納用品、ベビー用品などを注文することも可能となっています。
独身の作業員がメインの客層となるため、野菜や調理を前提とした鮮魚・精肉は品揃えが絞り込まれています。実際の買物内容を見ても、すぐに食べられる惣菜やカップ麺など即食商品が好調に売れていました。また、ドラッグストアすら周辺に立地していないため、日用消耗品に加え医薬品や生活雑貨、肌着なども取り扱っています。レジはコンビニエンスストアのように横1列に3台を配置。当初は袋詰めを従業員が行っていた様子ですが、現在はお客が行う形式に変更されており、入口近くの簡易的なサッカー台まで少し歩きます。
夕方から夜にかけて訪問した際には復興事業に従事していると見られる作業員(若年から中高年で大半が男性)ばかりでしたが、朝訪れると地元高齢者の姿も見られ、街に少しずつ住民が戻り始めていることを実感出来ました。一方で原発を挟んで南側の「ヨークベニマル新富岡店」では見られた若い家族連れや子供連れの姿は、イオン浪江店では残念ながら見られませんでした。平均客単価はあまり高くありませんが、事業所で働く従業員に配るためか、同一のペットボトル飲料を大量に買い込む方なども見受けられました。
働いている方も地元で暮らす主婦の方だと見られますが、地域貢献のためか小型店舗としては従業員が多く、品出し等を大人数で行っていました。夕方に勤務する「学生」枠の採用が難しいため昼間に出来る限りの作業を行っているのでしょうか。採算としては厳しい状況だと思われますが、被災地の復興のため頑張ってほしいですね。
JR常磐線浪江駅から徒歩12分程度のところに、イオン浪江店はあります。
店舗外観。
2011年3月から休業・閉店していた衣料品店「フレンドショップかねこ」の跡地に2019年7月14日、浪江町唯一のスーパーとしてオープン。東京電力福島第一原発から北に約8キロの場所です。

逆光ですが別角度から。
2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故のため、浪江町に住む21000人の町民は全国に散り散りになりました。町内全域に避難指示が出されていた浪江町ですが、2017年3月末には一部地域で避難指示が解除され、居住が可能となりました。イオンが出店した時点で町内の人口は約1000人(日本経済新聞より)でしたが、2023年3月現在は約1900人(浪江町公式ホームページより)にまで増加しています。

売場面積は881平米と「イオン」を名乗る店舗としては小型です。
入口から青果、惣菜を同時に展開。

導入部で販売する「NAMIE WATER」。

鮮魚売場は店の奥にありますが、入口で丸魚を並べることで鮮度感を訴求。

青果売場。取り扱いアイテムは絞り込まれており、イオンが積極的に扱うオーガニック野菜などは見られませんでした。

午前10時の時点で、売場に並んでいる丸ごとのキャベツは1玉のみという陳列量の少なさ。

浪江町で収穫された長ネギなどが並ぶ地場野菜コーナー。

簡便・即食の需要は大きいようで、カット野菜などは充実しています。

青果売場別角度から。

惣菜売場。

店内調理の弁当も種類豊富に販売。
午前10時の時点で十分な数量が並んでいます。

グリル料理や鉄板焼き料理も販売。

「リワードキッチン」ブランドの惣菜も取り扱います。

鮮魚部門でも即食需要に応える刺身と寿司は惣菜売場に隣接して販売。
「魚屋の鮨」は1人前980円など素材にこだわった商品も並びます。

お刺身は盛り合わせではなく単品お造りが中心。

鮮魚、精肉売場。
奥の精肉のボードの下には納豆など和日配が並んでおり、鮮魚、精肉は当初より縮小された様子。
浪江町に居住している地域住民よりも、原発関連の復興事業に従事する独身の作業員の方が客数としては多いと想定され、調理が必要な食材は販売が芳しくないようです。

精肉は全てアウトパックで供給します。
牛肉が少なく、豚肉や鶏肉に偏った品揃え。

和日配コーナー。

和洋日配はまとめて配置。

加工食品売場。

加工食品はそれほどアイテムが絞り込まれている印象はありません。

酒売場では浪江町の酒蔵「鈴木酒造店」の商品をエンドで訴求します。

周辺にはドラッグストアや衣料品店、100円ショップなども存在しないため、日用消耗品に加え医薬品や生活雑貨、肌着なども取り扱っています。




イートインコーナーを導入。

片付けられている什器等を見ると、週末限定でベーカリー商品を販売している模様。

「にぎわいあふれる浪江町の未来」
より多くの住民がこの地に戻ってくることを期待したいですね。

イオン浪江店 店舗概要
開業: 2019年7月14日
売場面積: 881㎡(公式リリースより)
営業時間: 【月~土(祝日を除く)】6:00~20:00【日・祝】9:00~20:00
住所: 福島県双葉郡浪江町大字幾世橋字大添60-1
駐車場: 50台(無料)
HP: https://aeontohoku.co.jp/stores/namie
店内・売場の様子
時間帯: 10時頃
客数: やや少ない
客層: 高齢者、作業員中心
買い物内容: 惣菜、加工食品、日用品中心にやや少なめ
売場の雰囲気: 明るい
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: ロジスティクス・ネットワーク
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(2台稼働中)
食品セミセルフレジ: 0台
食品完全セルフレジ: 0台
トイレ: 普通
休憩スペース: あり
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: トップバリュ
2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故のため、浪江町に住む21000人の町民は全国に散り散りになりました。町内全域に避難指示が出されていた浪江町ですが、2017年3月末には一部地域で避難指示が解除され、居住が可能となりました。
イオンは浪江町からの要請を受け「当店は町に戻り生活を再開された方々や、帰還を願いながらも町を離れて生活を続ける方々が、ふるさと浪江町で震災前の生活を取り戻すことを願い、日々の暮らしに必要な食料品や日用品、医薬品を取り揃えます。」として、地域貢献のため出店を決めました。町にはコンビニなどはありましたが生鮮食料品を扱うスーパーがなく、生活インフラが整わないことが帰還をためらう理由になっていました。
イオンが出店した2019年7月時点で、町内の人口は約1000人。とてもスーパーマーケットが成り立つ商圏人口ではありませんが、原子力発電所関連での復興事業に従事する作業員が大勢単身で暮らしており、コンビニエンスストアでは不十分なニーズが存在していました。イオンが出店したのは2011年3月から休業・閉店していた衣料品店「フレンドショップかねこ」の跡地です。売場面積はイートインコーナーを含まずに881平米と小規模ですが、店頭のタブレット端末を利用することで、店舗に無い寝具や収納用品、ベビー用品などを注文することも可能となっています。
独身の作業員がメインの客層となるため、野菜や調理を前提とした鮮魚・精肉は品揃えが絞り込まれています。実際の買物内容を見ても、すぐに食べられる惣菜やカップ麺など即食商品が好調に売れていました。また、ドラッグストアすら周辺に立地していないため、日用消耗品に加え医薬品や生活雑貨、肌着なども取り扱っています。レジはコンビニエンスストアのように横1列に3台を配置。当初は袋詰めを従業員が行っていた様子ですが、現在はお客が行う形式に変更されており、入口近くの簡易的なサッカー台まで少し歩きます。
夕方から夜にかけて訪問した際には復興事業に従事していると見られる作業員(若年から中高年で大半が男性)ばかりでしたが、朝訪れると地元高齢者の姿も見られ、街に少しずつ住民が戻り始めていることを実感出来ました。一方で原発を挟んで南側の「ヨークベニマル新富岡店」では見られた若い家族連れや子供連れの姿は、イオン浪江店では残念ながら見られませんでした。平均客単価はあまり高くありませんが、事業所で働く従業員に配るためか、同一のペットボトル飲料を大量に買い込む方なども見受けられました。
働いている方も地元で暮らす主婦の方だと見られますが、地域貢献のためか小型店舗としては従業員が多く、品出し等を大人数で行っていました。夕方に勤務する「学生」枠の採用が難しいため昼間に出来る限りの作業を行っているのでしょうか。採算としては厳しい状況だと思われますが、被災地の復興のため頑張ってほしいですね。