イトーヨーカドー上板橋店
- 2023/05/22
- 21:56
東京都板橋区。
東武東上線の上板橋駅から徒歩2分程度のところに、イトーヨーカドー上板橋店はあります。
店舗外観。
1971年12月3日に開業し、既に51年間営業している店舗です。

屋上広告塔には鳩が戻っています。

地上から。

前面はガラス張りですが、内部には窓がほとんどありません。

売場は4階までですが、建物は一部5階建てです。

店舗裏手には平面駐車場116台を備えています。

フロアガイド。売場面積は7186㎡で1フロアあたり約1800㎡というやや小規模な総合スーパーです。婦人服、紳士服と肌着は一通り揃えますが、子供服、子供用品は扱いません。

階段。2008年11月までは小さな屋上遊園地も営業していたようですが、現在は立ち入れなくなっています。

1階の屋外では自転車も販売。

1階食料品フロアから見ていきます。
青果売場先頭では「やっちゃ場」と題して新鮮な目玉商品をボリューム展開。

続いて果物、野菜と平台を配置しますが、売場自体やや狭い印象。
スポット照明の増設などは行われているものの、大規模な改装は実施されていません。

彩り豊かなカットフルーツが充実。

ココナッツやマンゴスチン、ドラゴンフルーツやアップルマンゴーなど南国フルーツを豊富に品揃え。

続く鮮魚売場。最近の店舗では当たり前となった調理場が見える形式ではありません。

丸魚はほぼ扱いませんが、家庭で調理する方向けの切身は充実。

殻付きほや(150円)など珍しい品も販売します。

鮮度感あるお刺身がズラリと並んでおり、上質な生本マグロ中トロが入った高級志向な盛り合わせも販売。

2切れずつ盛り付けられた多品種少量盛り(6種盛り798円)も揃えており、単身・少人数世帯の需要に応える商品も強化。

真鯛、真あじ、真さば、するめいか、ほたて貝柱といったお造りも取り扱います。若年層に人気のあるサーモンの比率は低く、高齢者が客層の中心であると推測されます。

フライパンで焼くだけの冷凍魚惣菜も種類豊富に展開。

続く精肉売場。
精肉も店内加工を実施しますが、一部の高収益店で見られる対面量り売りコーナーは未導入です。

青果売場ではかなりのアイテムが「顔が見える野菜」として販売されており、安心や安全といった価値を訴求しますが、精肉でも「顔が見えるお肉」というブランドを打ち出します。

国産鶏もも肉100gは128円。1枚でも2枚でも3枚でも単価は同じです。

1kg購入すると、ようやく単価が100g118円に下がります。

売場メイン通路。

洋日配コーナーの牛乳。

惣菜売場。昨今の店舗に多い、ライブ感を演出するオープンキッチン方式ではありません。

「彩り野菜と鶏唐揚げ黒酢弁当(そら豆ご飯)」(598円)、「彩り松花堂弁当」(598円)など手の込んだ付加価値あるお弁当を多数販売しており、料理をする時間は取れないが、バランスの取れた食事をしたいという需要取り込みを図ります。

お寿司は鮮魚部門での陳列は無く惣菜に集約されていますが、幅広い選択肢を提供する品揃え。

ピザは現状ハーフサイズで370円から460円となっており、もう少し値ごろ感のある価格に変更すれば販売も伸びるのではないでしょうか。

サラダは非常に充実したラインナップ。

チルド商品はセブンイレブンと同じ武蔵野フーズが製造する商品も多く、レトルトパウチはセブンイレブンでも販売されている「金のシリーズ」をコーナー展開します。

ちなみに駅に近い入口から入ると惣菜売場が配置されています。

和菓子コーナー。

加工食品売場。節電のため照明が一部消されています。18尺程度でゴンドラ(商品棚)を区切り、壁面のメイン通路とレジ前の間に中通路を2本通すことでレジ混雑時の回遊性を向上させているのは個人的にかなり評価できます。ロピアも見習ってほしいですね。

醬油コーナー。

ドレッシングコーナー。

「バイヤー厳選、こだわりの逸品」と称して高級品・こだわりの品を随所に差し込みます。

これは果たして「こだわりの逸品」なのでしょうか...。

ゴンドラエンドでは「ご当地カレーセレクション」と称し、500円を超えるような価格帯のアイテムまで幅広く展開。

通常のレトルトカレー売場も9尺を取り品揃えを強化。

他のゴンドラエンドでは備蓄用食品を集積していました。
目立つデザインの「パンの缶詰」

減塩や糖質カットといった健康志向な商品をコーナー展開。

訪れた日にはカレーフェスを実施しており、冷凍食品のカレーも投入。

レジは精算機を置くスペース確保のためセミセルフレジの間に通常レジも挟み込む形式。レジ前にはデジタルサイネージも導入します。

2階は婦人服、紳士服のフロア。

紳士カジュアル。

紳士フォーマルといってもYシャツが中心。

スポーツウエアも販売。

婦人・紳士パジャマ。

3階に入居するマクドナルド。奥側に50席を確保しています。
1階にフードコートがあるイトーヨーカドーは多いですが、上層階にマクドナルドがあるのは珍しい気がします。

3階のテナント「キャン・ドゥ」
面積の割に客数が多く感じました。

3階直営部分は肌着、文具などの売場です。

文具コーナー。

4階は日用消耗品と住まいの品フロア。

寝具も取り扱います。

小型の生活家電も販売。

1階でも一部日用消耗品を扱いますがアイテムは絞り込まれており、4階まで上がるのは不便にも感じます。

イトーヨーカドー上板橋店 店舗概要
開業: 1971年12月03日
売場面積: 7186㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間:
1F 10:00 – 22:00
2F~4F 10:00-21:00
住所: 東京都板橋区常盤台4-26-1
駐車場: 116台(平日20分毎に100円、休日30分毎に200円、1000円以上1時間無料、2000円以上2時間無料、3000円以上3時間無料)
HP: https://stores.itoyokado.co.jp/027
店内・売場の様子
時間帯: 13時頃
客数: やや少ない
客層: 主婦、高齢者中心
買い物内容: 生鮮、日配、惣菜中心にやや少なめ
売場の雰囲気: 特筆なし
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(2台稼働中)
食品セミセルフレジ: 5台(2台稼働中)、精算機10台
食品完全セルフレジ: 0台
トイレ: きれい
休憩スペース: あり(多数)
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: セブンプレミアム
東武東上線の上板橋駅から徒歩2分程度という好立地に建つ店舗です。駅の南側では高層マンションの建設を伴う再開発が計画されており、人口の増加も見込まれる地域となっています。そんなイトーヨーカドー上板橋店ですが、営業の継続を巡り建物の所有者とトラブルが生じています。
イトーヨーカドー上板橋店の土地と建物を所有するのは地元の不動産会社、小宮恒産株式会社です。1971年12月に開業した建物は近年では老朽化も進行し、家主の負担である保守修繕費も増加していたため、小宮恒産としては50年の節目を迎える2021年12月2日をもって契約を終了し、立ち退き要請を行いました。しかしイトーヨーカ堂は借地借家法に基づき「正当な事由がない限り、貸主は借り主を退去させられない」として退去を拒否。現在に至るまで営業を継続しています。
建て替え後に引き続き出店できるのであれば揉めることは無いのでしょうが、その見込みは現状ありません。イトーヨーカドー上板橋の売上高は、最盛期となる1990年代半ばには年間90億円を超えましたが2021年時点では40億円程度(ダイヤモンド社より)とされており、業績を反映して過去7度に渡って賃料の減額に家主は応じてきました。現在の賃料の約1.5倍を提示する企業もあり、小宮恒産としては建て替え後は他の食品スーパーなどに入居してもらう方針のようです。
いつ閉店するか分からない状況であるためか、売場のリニューアルは行われておらず、あまり投資が行われていない印象を持ちます。特に上層階は、近年のイトーヨーカドーが導入を進める「新しい生活様式」に対応したMDとは程遠い、旧態依然とした衣料品・住まいの品フロアが広がっています。お客様の声にも1階で日用品を購入したいという投稿がありましたが、日用消耗品が4階という配置も不便に感じます。上層階ではマクドナルドとキャン・ドゥには来店客が多いですが、直営部分は平日ということもあり閑散としていました。また、売場面積の関係上、婦人服と紳士服は一通り品揃えしていますが子供服や子供用品一切扱いません。
2008年11月までは小さな屋上遊園地も営業していたようですが、現在は立ち入れなくなっています。エレベーターは1台のみ。2階のサービスカウンター付近やエレベーター付近などに休憩スペースが多く、休んでいるお年寄りなどの姿が見られました。
1階食料品フロアは駅に近い方から入店すると惣菜売場となりますが、本来は青果、鮮魚、精肉、惣菜と左回りに配置する一般的なレイアウトです。青果では南国の果物や彩り豊かなカットフルーツを強化するほか、地場野菜や有機野菜は大きく訴求しないものの、イトーヨーカドー独自の「顔が見える野菜」を前面に打ち出します。安心や安全といった価値をアピールする一方、価格はそれ相応の設定。少量・小分けパックはそれほど多くないものの、カット野菜など単身者向けのアイテムは積極的に導入します。
鮮魚は顧客の支持を獲得しており売上も好調なようで、鮮度感あるお刺身がズラリと並んでいます。上質な生本マグロ中トロが入った高級志向な盛り合わせも販売します。2切れずつ盛り付けられた多品種少量盛り(6種盛り798円)も揃えており、単身・少人数世帯の需要に応える商品も強化。丸魚はほぼ扱いませんが、家庭で調理する方向けの切身は充実しており、殻付きほや(150円)など珍しい品も販売します。
精肉でも「顔の見えるお肉」というブランドを打ち出しています。極端に上質な霜降りの入ったような牛肉は扱いませんが、100g238円のアメリカ産肩ロースステーキの隣には、茨城県産瑞穂牛100g780円も並んでいます。競合他社なども取り組む大容量パックでの価格訴求を行いますが、国産鶏もも肉100gは1kg購入してやっと100g118円となり、通常100g128円と競争力は低い水準です。
惣菜では手の込んだ付加価値あるお弁当を多数販売しており、料理をする時間は取れないが、バランスの取れた食事をしたいという需要取り込みを図ります。サラダも高単価なアイテムまで拡充。お寿司も幅広い需要に応えますが、ピザはもう少しお買い得な価格設定に変更すれば販売も伸びるのではないでしょうか。
加工食品は高級品、こだわりの品を随所に差し込みます。セブンプレミアムは出来る限り集積してコーナー展開することで統一感ある売場に仕上がっています。大手ナショナルブランドの価格訴求は今一つですが、低価格のPB「ザ・プライス」を導入し下限プライスはある程度低く抑えられています。18尺程度でゴンドラ(商品棚)を区切り、壁面のメイン通路とレジ前の間に中通路を2本通すことでレジ混雑時の回遊性を向上させているのは個人的にかなり評価できます。ロピアも見習ってほしいですね。レジは精算機を置くスペース確保のためセミセルフレジの間に通常レジも挟み込む形式で、ライフの一部店舗など競合他社でも採用されています。
売場では買い物客よりもネットスーパーのピッキング作業によって商品が無くなっているような印象を持つほど、ネットスーパーの注文は多いようです。一方で平日の昼過ぎということもあり来店客は少なめで、徒歩や自転車での来店が中心であるため客単価も低くなっていました。店舗裏には平面駐車場116台を備えていますが、あまり利用されている様子がありませんでした。
東武東上線の上板橋駅から徒歩2分程度のところに、イトーヨーカドー上板橋店はあります。
店舗外観。
1971年12月3日に開業し、既に51年間営業している店舗です。

屋上広告塔には鳩が戻っています。

地上から。

前面はガラス張りですが、内部には窓がほとんどありません。

売場は4階までですが、建物は一部5階建てです。

店舗裏手には平面駐車場116台を備えています。

フロアガイド。売場面積は7186㎡で1フロアあたり約1800㎡というやや小規模な総合スーパーです。婦人服、紳士服と肌着は一通り揃えますが、子供服、子供用品は扱いません。

階段。2008年11月までは小さな屋上遊園地も営業していたようですが、現在は立ち入れなくなっています。

1階の屋外では自転車も販売。

1階食料品フロアから見ていきます。
青果売場先頭では「やっちゃ場」と題して新鮮な目玉商品をボリューム展開。

続いて果物、野菜と平台を配置しますが、売場自体やや狭い印象。
スポット照明の増設などは行われているものの、大規模な改装は実施されていません。

彩り豊かなカットフルーツが充実。

ココナッツやマンゴスチン、ドラゴンフルーツやアップルマンゴーなど南国フルーツを豊富に品揃え。

続く鮮魚売場。最近の店舗では当たり前となった調理場が見える形式ではありません。

丸魚はほぼ扱いませんが、家庭で調理する方向けの切身は充実。

殻付きほや(150円)など珍しい品も販売します。

鮮度感あるお刺身がズラリと並んでおり、上質な生本マグロ中トロが入った高級志向な盛り合わせも販売。

2切れずつ盛り付けられた多品種少量盛り(6種盛り798円)も揃えており、単身・少人数世帯の需要に応える商品も強化。

真鯛、真あじ、真さば、するめいか、ほたて貝柱といったお造りも取り扱います。若年層に人気のあるサーモンの比率は低く、高齢者が客層の中心であると推測されます。

フライパンで焼くだけの冷凍魚惣菜も種類豊富に展開。

続く精肉売場。
精肉も店内加工を実施しますが、一部の高収益店で見られる対面量り売りコーナーは未導入です。

青果売場ではかなりのアイテムが「顔が見える野菜」として販売されており、安心や安全といった価値を訴求しますが、精肉でも「顔が見えるお肉」というブランドを打ち出します。

国産鶏もも肉100gは128円。1枚でも2枚でも3枚でも単価は同じです。

1kg購入すると、ようやく単価が100g118円に下がります。

売場メイン通路。

洋日配コーナーの牛乳。

惣菜売場。昨今の店舗に多い、ライブ感を演出するオープンキッチン方式ではありません。

「彩り野菜と鶏唐揚げ黒酢弁当(そら豆ご飯)」(598円)、「彩り松花堂弁当」(598円)など手の込んだ付加価値あるお弁当を多数販売しており、料理をする時間は取れないが、バランスの取れた食事をしたいという需要取り込みを図ります。

お寿司は鮮魚部門での陳列は無く惣菜に集約されていますが、幅広い選択肢を提供する品揃え。

ピザは現状ハーフサイズで370円から460円となっており、もう少し値ごろ感のある価格に変更すれば販売も伸びるのではないでしょうか。

サラダは非常に充実したラインナップ。

チルド商品はセブンイレブンと同じ武蔵野フーズが製造する商品も多く、レトルトパウチはセブンイレブンでも販売されている「金のシリーズ」をコーナー展開します。

ちなみに駅に近い入口から入ると惣菜売場が配置されています。

和菓子コーナー。

加工食品売場。節電のため照明が一部消されています。18尺程度でゴンドラ(商品棚)を区切り、壁面のメイン通路とレジ前の間に中通路を2本通すことでレジ混雑時の回遊性を向上させているのは個人的にかなり評価できます。ロピアも見習ってほしいですね。

醬油コーナー。

ドレッシングコーナー。

「バイヤー厳選、こだわりの逸品」と称して高級品・こだわりの品を随所に差し込みます。

これは果たして「こだわりの逸品」なのでしょうか...。

ゴンドラエンドでは「ご当地カレーセレクション」と称し、500円を超えるような価格帯のアイテムまで幅広く展開。

通常のレトルトカレー売場も9尺を取り品揃えを強化。

他のゴンドラエンドでは備蓄用食品を集積していました。
目立つデザインの「パンの缶詰」

減塩や糖質カットといった健康志向な商品をコーナー展開。

訪れた日にはカレーフェスを実施しており、冷凍食品のカレーも投入。

レジは精算機を置くスペース確保のためセミセルフレジの間に通常レジも挟み込む形式。レジ前にはデジタルサイネージも導入します。

2階は婦人服、紳士服のフロア。

紳士カジュアル。

紳士フォーマルといってもYシャツが中心。

スポーツウエアも販売。

婦人・紳士パジャマ。

3階に入居するマクドナルド。奥側に50席を確保しています。
1階にフードコートがあるイトーヨーカドーは多いですが、上層階にマクドナルドがあるのは珍しい気がします。

3階のテナント「キャン・ドゥ」
面積の割に客数が多く感じました。

3階直営部分は肌着、文具などの売場です。

文具コーナー。

4階は日用消耗品と住まいの品フロア。

寝具も取り扱います。

小型の生活家電も販売。

1階でも一部日用消耗品を扱いますがアイテムは絞り込まれており、4階まで上がるのは不便にも感じます。

イトーヨーカドー上板橋店 店舗概要
開業: 1971年12月03日
売場面積: 7186㎡(日本スーパー名鑑より)
営業時間:
1F 10:00 – 22:00
2F~4F 10:00-21:00
住所: 東京都板橋区常盤台4-26-1
駐車場: 116台(平日20分毎に100円、休日30分毎に200円、1000円以上1時間無料、2000円以上2時間無料、3000円以上3時間無料)
HP: https://stores.itoyokado.co.jp/027
店内・売場の様子
時間帯: 13時頃
客数: やや少ない
客層: 主婦、高齢者中心
買い物内容: 生鮮、日配、惣菜中心にやや少なめ
売場の雰囲気: 特筆なし
品出し・前出し: やや良い
クリンリネス: 良い
接客対応: やや良い
店内BGM: 有線放送
精肉加工者: 自社店内
鮮魚加工者: 自社店内
食品通常レジ: 3台(2台稼働中)
食品セミセルフレジ: 5台(2台稼働中)、精算機10台
食品完全セルフレジ: 0台
トイレ: きれい
休憩スペース: あり(多数)
インストアベーカリー: 無し
プライベートブランド: セブンプレミアム
東武東上線の上板橋駅から徒歩2分程度という好立地に建つ店舗です。駅の南側では高層マンションの建設を伴う再開発が計画されており、人口の増加も見込まれる地域となっています。そんなイトーヨーカドー上板橋店ですが、営業の継続を巡り建物の所有者とトラブルが生じています。
イトーヨーカドー上板橋店の土地と建物を所有するのは地元の不動産会社、小宮恒産株式会社です。1971年12月に開業した建物は近年では老朽化も進行し、家主の負担である保守修繕費も増加していたため、小宮恒産としては50年の節目を迎える2021年12月2日をもって契約を終了し、立ち退き要請を行いました。しかしイトーヨーカ堂は借地借家法に基づき「正当な事由がない限り、貸主は借り主を退去させられない」として退去を拒否。現在に至るまで営業を継続しています。
建て替え後に引き続き出店できるのであれば揉めることは無いのでしょうが、その見込みは現状ありません。イトーヨーカドー上板橋の売上高は、最盛期となる1990年代半ばには年間90億円を超えましたが2021年時点では40億円程度(ダイヤモンド社より)とされており、業績を反映して過去7度に渡って賃料の減額に家主は応じてきました。現在の賃料の約1.5倍を提示する企業もあり、小宮恒産としては建て替え後は他の食品スーパーなどに入居してもらう方針のようです。
いつ閉店するか分からない状況であるためか、売場のリニューアルは行われておらず、あまり投資が行われていない印象を持ちます。特に上層階は、近年のイトーヨーカドーが導入を進める「新しい生活様式」に対応したMDとは程遠い、旧態依然とした衣料品・住まいの品フロアが広がっています。お客様の声にも1階で日用品を購入したいという投稿がありましたが、日用消耗品が4階という配置も不便に感じます。上層階ではマクドナルドとキャン・ドゥには来店客が多いですが、直営部分は平日ということもあり閑散としていました。また、売場面積の関係上、婦人服と紳士服は一通り品揃えしていますが子供服や子供用品一切扱いません。
2008年11月までは小さな屋上遊園地も営業していたようですが、現在は立ち入れなくなっています。エレベーターは1台のみ。2階のサービスカウンター付近やエレベーター付近などに休憩スペースが多く、休んでいるお年寄りなどの姿が見られました。
1階食料品フロアは駅に近い方から入店すると惣菜売場となりますが、本来は青果、鮮魚、精肉、惣菜と左回りに配置する一般的なレイアウトです。青果では南国の果物や彩り豊かなカットフルーツを強化するほか、地場野菜や有機野菜は大きく訴求しないものの、イトーヨーカドー独自の「顔が見える野菜」を前面に打ち出します。安心や安全といった価値をアピールする一方、価格はそれ相応の設定。少量・小分けパックはそれほど多くないものの、カット野菜など単身者向けのアイテムは積極的に導入します。
鮮魚は顧客の支持を獲得しており売上も好調なようで、鮮度感あるお刺身がズラリと並んでいます。上質な生本マグロ中トロが入った高級志向な盛り合わせも販売します。2切れずつ盛り付けられた多品種少量盛り(6種盛り798円)も揃えており、単身・少人数世帯の需要に応える商品も強化。丸魚はほぼ扱いませんが、家庭で調理する方向けの切身は充実しており、殻付きほや(150円)など珍しい品も販売します。
精肉でも「顔の見えるお肉」というブランドを打ち出しています。極端に上質な霜降りの入ったような牛肉は扱いませんが、100g238円のアメリカ産肩ロースステーキの隣には、茨城県産瑞穂牛100g780円も並んでいます。競合他社なども取り組む大容量パックでの価格訴求を行いますが、国産鶏もも肉100gは1kg購入してやっと100g118円となり、通常100g128円と競争力は低い水準です。
惣菜では手の込んだ付加価値あるお弁当を多数販売しており、料理をする時間は取れないが、バランスの取れた食事をしたいという需要取り込みを図ります。サラダも高単価なアイテムまで拡充。お寿司も幅広い需要に応えますが、ピザはもう少しお買い得な価格設定に変更すれば販売も伸びるのではないでしょうか。
加工食品は高級品、こだわりの品を随所に差し込みます。セブンプレミアムは出来る限り集積してコーナー展開することで統一感ある売場に仕上がっています。大手ナショナルブランドの価格訴求は今一つですが、低価格のPB「ザ・プライス」を導入し下限プライスはある程度低く抑えられています。18尺程度でゴンドラ(商品棚)を区切り、壁面のメイン通路とレジ前の間に中通路を2本通すことでレジ混雑時の回遊性を向上させているのは個人的にかなり評価できます。ロピアも見習ってほしいですね。レジは精算機を置くスペース確保のためセミセルフレジの間に通常レジも挟み込む形式で、ライフの一部店舗など競合他社でも採用されています。
売場では買い物客よりもネットスーパーのピッキング作業によって商品が無くなっているような印象を持つほど、ネットスーパーの注文は多いようです。一方で平日の昼過ぎということもあり来店客は少なめで、徒歩や自転車での来店が中心であるため客単価も低くなっていました。店舗裏には平面駐車場116台を備えていますが、あまり利用されている様子がありませんでした。