2/14現店舗での営業終了 岡島百貨店
- 2023/02/16
- 22:42
山梨県甲府市。
JR甲府駅から徒歩10分程度のところに、岡島百貨店はあります。
岡島百貨店は2023年2月14日をもって現店舗での営業を終了し、3月3日より近隣に縮小移転します。
1月中旬と営業最終日に訪れましたのでご紹介いたします。
店舗外観。
売場面積は3万2044㎡と、地方百貨店として有数の規模を誇りました。
ショーウインドーが並ぶ通路。
正面入口はこちら側です。
中心市街地に立地し、増築を重ねていることもあり全景は中々掴めません。
駐車場棟からの眺め。
隣接して立体駐車場も設けられています。
見切れていますが駐車場棟。
屋上広告塔。
岡島百貨店の屋上。かつては屋上遊園地も営業していましたが、現在は何もありません。
タイルも所々剝がれており、メンテナンスに手が回らなかったようです。
店舗の屋上広告塔。
大規模小売店舗表示板。
ファイナルカウントダウンセールを開催。
フロアガイド。
正面入口から階段を降りた所に1階フロア。
岡島の銘板。
7階にあった岡島のマーク。
店内階段。
エスカレーターには「いらっしゃいませ」の文字が。
地下1階売場から見ていく前に、「岡島の歩み写真展」を紹介いたします。
歴代の制服も展示。
岡島の歴史。180年前の1843年に創業しました。
パネルで歴史を振り返ります。
1955年には屋上遊園地を開設。
1988年に増床し現在の店舗となりました。
過去の折込チラシも展示。
ブロック玩具で組み立てられた模型。店舗の裏手はかなり複雑な形状であることが分かります。
精巧に出来ています。
お客さんからのメッセージも貼り出されていました。
地下1階食料品フロアから見ていきます。
「OKAJIMA FOOD GARDEN」
生鮮品は地場スーパー「アマノパークス」が担当。
デパ地下らしい上質志向な品揃えを展開していました。
精肉は対面量り売りも実施。
惣菜売場。
和洋菓子などの銘品コーナーも充実。
甲州ワインを豊富に揃えていました。
1階は化粧品、服飾雑貨フロア。
2カ所のエスカレーターの間を結ぶ通路は各階ごとに意匠が異なり、バブル期の豪華絢爛な雰囲気を残しています。
化粧品コーナー。
ファイナルカウントダウンセールをアピール。
婦人靴コーナー。
2階婦人服フロア。
3階は婦人服と家具・インテリアのフロア。
大塚家具が出店します。
アウトドア用品専門店「好日山荘」も入居。
4階紳士服フロア。
スポーツウエア。
トラベル用品コーナー。
5階は家庭用品、子供服のフロア。
寝具コーナー。
品薄になっているコーナーもありました。
非常に売場が狭いもののケーズデンキを導入していましたが、昨年末に先行して閉店しています。
雛人形も販売。
6階に入居するジュンク堂書店。こちらは2023年1月末に先行して閉店します。
丸善が文具品を担当。大幅値引きが行われていました。
7階レストラン街。
1月に訪れた際には催事場はお休みでした。
この少し先に岡島ローヤル会館という宴会、会議、結婚式場があったのですが、見逃してしまいました。
ここからは営業最終日の模様です。
最終日まで北海道物産展を開催していました。
1階化粧品コーナー。
地下のアマノパークスは売り尽くしを実施し、ほとんど商品が無くなっていました。
20年間営業していたそうです。なお、上層階は商品がやや少なくなったものの売場の様子は変わっていませんので、割愛いたします。
青果売場。
加工食品売場。
鮮魚売場。
精肉売場。
惣菜売場。
和洋菓子などの銘品コーナーもほとんど商品が無くなっていました。
1月末で閉店したジュンク堂書店。フロア自体が立ち入れなくなっていました。
本の撤去された店内。
岩波書店など返本を受け付けない一部出版社の書籍は、90%オフなど非常にお得な価格で5階にて販売されていました。
移転先のココリには既に岡島のロゴが掲げられていました。
地下1階から2階の3フロアに4500㎡規模でオープンします。
日本百貨店協会の加盟条件に「加盟を希望する店舗の売場面積が1万5千平方メートル以上あるか」という基準がありますが、現在は形骸化しており、それを下回る店舗や、実質的にスーパーマーケットのみ運営している企業も加盟を続けています。岡島百貨店も百貨店協会には引き続き加盟し、全国百貨店共通券も利用できます。
フロアガイドも既に切り替えが済んでいました。
ジュンク堂書店やアマノパークス、ポンパドウル、大塚家具、好日山荘といったテナントは縮小移転を機に撤退となりますが、地下フロアの明治屋など県内初出店のブランドも誘致します。
営業終了後に閉店セレモニーが行われましたので動画でご紹介いたします。
山梨県甲府市出身のシンガーソングライター、伸太郎さんの曲も披露される華やかな演出でした。
岡島百貨店 店舗概要
開業: 1938年(現店舗)
売場面積: 32044㎡(日経MJより)
営業時間: 10:00~19:00
住所: 山梨県甲府市丸の内1-21-15
駐車場: あり(1,000円(税込)以上お買い上げの場合 2時間無料、10,000円(税込)以上お買い上げの場合3時間無料)
HP: https://www.okajima.co.jp/
岡島は呉服・両替商として1843年(天保14年)創業。1936年に「株式会社岡島」として百貨店の営業を始め、1938年には現在の土地に5階建ての店舗をオープンさせます。1945年7月の甲府空襲で店の内部は全焼したものの、外壁は残り建物を改修しながら営業を継続。戦後は増床を重ね、1988年には地方百貨店としては有数の規模となる3万2044平米でリニューアルオープン。甲府松菱(のちの山交百貨店)、甲府西武との競争に打ち勝ち、地域一番店として中心市街地の賑わいの中核を担ってきました。
しかし郊外のラザウォーク甲斐双葉やイオンモール甲府昭和、イトーヨーカドー甲府昭和店といった大型商業施設が進出した影響で、中心市街地の集客力は低下。1998年に甲府西武が閉店し、2019年には山交百貨店が閉店しました。岡島も2002年と2008年の2度にわたって債務超過に陥り、メインバンクの山梨中央銀行から債権放棄を受け、三越との提携やジュンク堂書店の導入など再建に努めました。一方で建物の老朽化は著しく、近年の売上不振から修繕も十分に行えていませんでした。
岡島百貨店は2023年3月3日に近隣の商業ビル「ココリ」に移転し、店舗面積7分の1(4500平米)の規模に縮小して再スタートを切ります。現店舗は解体され、MIRARTHホールディングス(旧タカラレーベン)が取得し、地上28階建てのタワーマンションを核とした複合施設を開発し、2028年7月に開業する予定です。商業区画も設けますが、約3200平米にとどまっており、岡島が再出店するには更なる縮小となるため現実的ではないと考えられます。土地と建物を売却するため、一時的な資金は手に入ると見られますが、その後継続して収入を得ることが出来なくなるため、今後はココリへの賃料も支払いながら利益を出していく必要があります。
岡島百貨店の売上高は以下の通りとなっています。(日経MJより)
2015年度 102億6700万円
2016年度 97億5400万円
2017年度 92億5400万円
2018年度 89億700万円
2019年度 87億700万円
2020年度 72億7200万円
2021年度 75億7600万円
売場面積3万2044平米の百貨店としては非常に厳しい売上高となっています。売場面積が1/7にまで減少するココリで、この何割の売上を計上できるか未知数ですが、4500平米規模の商業施設というのは集客力に乏しく、非常に苦戦するのではないかと推測されます。スーパーマーケット業界では、この規模で利益が出ていたのは1990年代後半までで、ダイエー、マイカル、長崎屋、寿屋といった総合スーパーの経営が行き詰った2000年代以降には、食品に特化しテナントを入れなければ成り立たない中途半端な規模です。ちなみにココリにはかつてイオンの食品スーパー業態が営業していましたが、2020年11月末に撤退しています。一方で岡島百貨店には山梨県唯一の百貨店というブランド力があり、店舗規模に関わらず外商やお中元・お歳暮需要が見込まれ、来店客数が全てという訳ではありません。創業から180年続く老舗百貨店の歴史が途絶えないことを期待しています。
JR甲府駅から徒歩10分程度のところに、岡島百貨店はあります。
岡島百貨店は2023年2月14日をもって現店舗での営業を終了し、3月3日より近隣に縮小移転します。
1月中旬と営業最終日に訪れましたのでご紹介いたします。
店舗外観。
売場面積は3万2044㎡と、地方百貨店として有数の規模を誇りました。
ショーウインドーが並ぶ通路。
正面入口はこちら側です。
中心市街地に立地し、増築を重ねていることもあり全景は中々掴めません。
駐車場棟からの眺め。
隣接して立体駐車場も設けられています。
見切れていますが駐車場棟。
屋上広告塔。
岡島百貨店の屋上。かつては屋上遊園地も営業していましたが、現在は何もありません。
タイルも所々剝がれており、メンテナンスに手が回らなかったようです。
店舗の屋上広告塔。
大規模小売店舗表示板。
ファイナルカウントダウンセールを開催。
フロアガイド。
正面入口から階段を降りた所に1階フロア。
岡島の銘板。
7階にあった岡島のマーク。
店内階段。
エスカレーターには「いらっしゃいませ」の文字が。
地下1階売場から見ていく前に、「岡島の歩み写真展」を紹介いたします。
歴代の制服も展示。
岡島の歴史。180年前の1843年に創業しました。
パネルで歴史を振り返ります。
1955年には屋上遊園地を開設。
1988年に増床し現在の店舗となりました。
過去の折込チラシも展示。
ブロック玩具で組み立てられた模型。店舗の裏手はかなり複雑な形状であることが分かります。
精巧に出来ています。
お客さんからのメッセージも貼り出されていました。
地下1階食料品フロアから見ていきます。
「OKAJIMA FOOD GARDEN」
生鮮品は地場スーパー「アマノパークス」が担当。
デパ地下らしい上質志向な品揃えを展開していました。
精肉は対面量り売りも実施。
惣菜売場。
和洋菓子などの銘品コーナーも充実。
甲州ワインを豊富に揃えていました。
1階は化粧品、服飾雑貨フロア。
2カ所のエスカレーターの間を結ぶ通路は各階ごとに意匠が異なり、バブル期の豪華絢爛な雰囲気を残しています。
化粧品コーナー。
ファイナルカウントダウンセールをアピール。
婦人靴コーナー。
2階婦人服フロア。
3階は婦人服と家具・インテリアのフロア。
大塚家具が出店します。
アウトドア用品専門店「好日山荘」も入居。
4階紳士服フロア。
スポーツウエア。
トラベル用品コーナー。
5階は家庭用品、子供服のフロア。
寝具コーナー。
品薄になっているコーナーもありました。
非常に売場が狭いもののケーズデンキを導入していましたが、昨年末に先行して閉店しています。
雛人形も販売。
6階に入居するジュンク堂書店。こちらは2023年1月末に先行して閉店します。
丸善が文具品を担当。大幅値引きが行われていました。
7階レストラン街。
1月に訪れた際には催事場はお休みでした。
この少し先に岡島ローヤル会館という宴会、会議、結婚式場があったのですが、見逃してしまいました。
ここからは営業最終日の模様です。
最終日まで北海道物産展を開催していました。
1階化粧品コーナー。
地下のアマノパークスは売り尽くしを実施し、ほとんど商品が無くなっていました。
20年間営業していたそうです。なお、上層階は商品がやや少なくなったものの売場の様子は変わっていませんので、割愛いたします。
青果売場。
加工食品売場。
鮮魚売場。
精肉売場。
惣菜売場。
和洋菓子などの銘品コーナーもほとんど商品が無くなっていました。
1月末で閉店したジュンク堂書店。フロア自体が立ち入れなくなっていました。
本の撤去された店内。
岩波書店など返本を受け付けない一部出版社の書籍は、90%オフなど非常にお得な価格で5階にて販売されていました。
移転先のココリには既に岡島のロゴが掲げられていました。
地下1階から2階の3フロアに4500㎡規模でオープンします。
日本百貨店協会の加盟条件に「加盟を希望する店舗の売場面積が1万5千平方メートル以上あるか」という基準がありますが、現在は形骸化しており、それを下回る店舗や、実質的にスーパーマーケットのみ運営している企業も加盟を続けています。岡島百貨店も百貨店協会には引き続き加盟し、全国百貨店共通券も利用できます。
フロアガイドも既に切り替えが済んでいました。
ジュンク堂書店やアマノパークス、ポンパドウル、大塚家具、好日山荘といったテナントは縮小移転を機に撤退となりますが、地下フロアの明治屋など県内初出店のブランドも誘致します。
営業終了後に閉店セレモニーが行われましたので動画でご紹介いたします。
山梨県甲府市出身のシンガーソングライター、伸太郎さんの曲も披露される華やかな演出でした。
岡島百貨店 店舗概要
開業: 1938年(現店舗)
売場面積: 32044㎡(日経MJより)
営業時間: 10:00~19:00
住所: 山梨県甲府市丸の内1-21-15
駐車場: あり(1,000円(税込)以上お買い上げの場合 2時間無料、10,000円(税込)以上お買い上げの場合3時間無料)
HP: https://www.okajima.co.jp/
岡島は呉服・両替商として1843年(天保14年)創業。1936年に「株式会社岡島」として百貨店の営業を始め、1938年には現在の土地に5階建ての店舗をオープンさせます。1945年7月の甲府空襲で店の内部は全焼したものの、外壁は残り建物を改修しながら営業を継続。戦後は増床を重ね、1988年には地方百貨店としては有数の規模となる3万2044平米でリニューアルオープン。甲府松菱(のちの山交百貨店)、甲府西武との競争に打ち勝ち、地域一番店として中心市街地の賑わいの中核を担ってきました。
しかし郊外のラザウォーク甲斐双葉やイオンモール甲府昭和、イトーヨーカドー甲府昭和店といった大型商業施設が進出した影響で、中心市街地の集客力は低下。1998年に甲府西武が閉店し、2019年には山交百貨店が閉店しました。岡島も2002年と2008年の2度にわたって債務超過に陥り、メインバンクの山梨中央銀行から債権放棄を受け、三越との提携やジュンク堂書店の導入など再建に努めました。一方で建物の老朽化は著しく、近年の売上不振から修繕も十分に行えていませんでした。
岡島百貨店は2023年3月3日に近隣の商業ビル「ココリ」に移転し、店舗面積7分の1(4500平米)の規模に縮小して再スタートを切ります。現店舗は解体され、MIRARTHホールディングス(旧タカラレーベン)が取得し、地上28階建てのタワーマンションを核とした複合施設を開発し、2028年7月に開業する予定です。商業区画も設けますが、約3200平米にとどまっており、岡島が再出店するには更なる縮小となるため現実的ではないと考えられます。土地と建物を売却するため、一時的な資金は手に入ると見られますが、その後継続して収入を得ることが出来なくなるため、今後はココリへの賃料も支払いながら利益を出していく必要があります。
岡島百貨店の売上高は以下の通りとなっています。(日経MJより)
2015年度 102億6700万円
2016年度 97億5400万円
2017年度 92億5400万円
2018年度 89億700万円
2019年度 87億700万円
2020年度 72億7200万円
2021年度 75億7600万円
売場面積3万2044平米の百貨店としては非常に厳しい売上高となっています。売場面積が1/7にまで減少するココリで、この何割の売上を計上できるか未知数ですが、4500平米規模の商業施設というのは集客力に乏しく、非常に苦戦するのではないかと推測されます。スーパーマーケット業界では、この規模で利益が出ていたのは1990年代後半までで、ダイエー、マイカル、長崎屋、寿屋といった総合スーパーの経営が行き詰った2000年代以降には、食品に特化しテナントを入れなければ成り立たない中途半端な規模です。ちなみにココリにはかつてイオンの食品スーパー業態が営業していましたが、2020年11月末に撤退しています。一方で岡島百貨店には山梨県唯一の百貨店というブランド力があり、店舗規模に関わらず外商やお中元・お歳暮需要が見込まれ、来店客数が全てという訳ではありません。創業から180年続く老舗百貨店の歴史が途絶えないことを期待しています。